賞味期限の近づいたオニギリや弁当を値引きしないようフランチャイズ店に強制していたセブンイレブン・ジャパンに対して公正取引委員会は22日、「優越的な地位を利用した強制は止めなさい」と命令した。
拙宅近くのコンビニ店で店員さんがオニギリ、弁当、焼きそばなどを次々とカゴに入れていく光景をしばしば見かける。コンビニ業界で言う廃棄(ロス)である。廃棄した食品の仕入れ代金、(売れたと仮定した場合の)本部への上納金(チャージ)まで、すべてフランチィズ経営者が損失を被るのである。まさに踏んだり蹴ったりだ。
セブンイレブン側は「鮮度を大事にするため…」などと説明しているが、子供だましの詭弁だ。フランチャイズの安値販売は、あくまでも賞味期限内である。
セブンイレブンが恐れているのは値崩れだ。フランチィズ店の安値販売で値引き競争になれば、フランチィズからの上納金にあたる「チャージ」が大きく減る。この構造はセブンイレブンに限らず大手コンビニチェーン共通である。どの社も廃棄をフランチャイズ店に強制している。
コンビニ本部は自らのビジネスモデルを固守せんがために年間17万トン(コンビニ主要10社=朝日新聞記事より)もの食品を廃棄させているのである。
世界の食糧援助は年間330万トン(WFP=世界食糧機構まとめ)。日本のコンビニだけで世界の食糧援助の5パーセントを無駄にしている計算になる。
公正取引委員会の命令が出る3日前、国連食糧農業機関(FAO)は「10億人余りが飢餓に瀕している」とする報告書を発表した。世界規模の経済危機で昨年より1億人増加した、という。地域別ではアジア太平洋が最も多く6億4千万人。2位がアフリカ(サハラ以南)=2億6,500万人、3位がラテン・カリブ諸国=5,300万人、4位が中東・北アフリカ=4,200万人などとなっている。
ちなみにコンビニの廃棄分は5千万人分の食糧援助を賄う。ラテン・カリブ諸国の飢餓を救えるのである。
コンビニばかりではない。ホテル、ファミレス、ファーストフード店の食品廃棄も夥しい。日本は年間1940万トンもの食糧を廃棄している。世界の食糧援助の6倍近い。飢餓にあえぐ世界の民を6年間も救える量だ。食糧自給率は先進主要国最下位にしてこの壮大な無駄。罪深さを改めて思い知らねばならない。
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