高福祉、高負担―ストックホルムの「鳩山夫妻」

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高負担、高福祉のスウェーデン。老夫婦の背中からは生活苦の匂いがほとんど感じられない(首都ストックホルムで。写真=筆者撮影)

 民主党の鳩山由紀夫代表(62歳)と幸夫人(66歳)が連れ立って歩く姿が、毎日のようにテレビ画面に映し出される。仲睦まじいツーショットは民主党が政権を獲得するはるか前からグラビアなどを賑わしていた。手をつないで歩く場面もあった。こんな老夫婦は日本ではごく稀である。せち辛い現実がのしかかっているからだ。

 巷で60歳を過ぎた夫婦ともなれば老後の生活が心配になる。子供がいなければ老老介護の不安さえ頭をよぎる。「老老介護地獄」の果てに夫が妻を殺したりする事件も珍しくなくなった。

 「高負担、高福祉」のスウェーデンでは、鳩山夫妻のように手をつないで散歩する老夫婦をよく見かける。後ろ姿からは生活苦など微塵も感じさせない。日本の老夫婦とは別世界だ。

 ただスウェーデンの消費税率は25%と高い。手厚い福祉を国民あげて支えるからだ。鳩山代表は「向こう4年間は消費税率を据え置く」とマニフェストで明言している。先ず無駄をなくし、増税はその後で検討しようということだろう。

 鳩山代表の唱える「友愛精神」は「高福祉、高負担」とも読める。無駄遣いの膿(うみ)を出し切った後は、できるだけ弱者の負担が軽くて済む高福祉を実現してほしい。

 鳩山夫妻のような大富豪でなくても老夫婦が腕を組んで元気に歩けるような社会でありたい。10数年後には老老介護に追われる身となるであろう筆者は切に願うのである。

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