赤松広隆農水相は24日早朝、移転問題で揺れる築地市場を視察した。赤松農水相は就任後の記者会見で土壌の毒性が指摘されている豊洲への移転について「安全性が確認されるまでは卸売り市場の開設を認可しない」と明確な方針を示している。
視察は赤松大臣側の要望で決まったもので、コースや協議など具体的なセッティングは、農水省総合食糧局と東京都が行った。官僚ラインによる設定だ。
築地移転をめぐっては八ツ場ダムほど長くはないが、移転を推進する東京都と移転賛成の水産業者が移転反対業者と20年間にわたって対立してきた。
移転賛成業者らで作る諸団体には農水省OBが天下っており、この日の視察も官僚ラインで調整が進められていた。移転賛成業者らが八ツ場ダムの建設推進派住民のごとく、赤松大臣に「是非移転を」と陳情するはずだった。
だが移転反対派の業者はこの「計画」を聞きつけた。国政の場で移転に反対している民主党衆院議員に即座に通報し、賛成業者による赤松大臣への陳情計画を潰したのである。
「政権交代は有難いよ」。移転反対の仲卸業者は嬉しそうに微笑んだ。
それでも「さすが官僚」と思わせる仕込みが用意されていた。肝心要の仲卸業者売場の視察はマスコミは完全シャットアウトとされた。赤松大臣は、築地市場の森本博行・場長に案内されて広大な売り場を視察するのだが、赤松大臣が立ち寄るのは移転賛成業者の店だったりした。そうとも知らない赤松大臣は名刺を渡し挨拶した。
案内役の森本場長はれっきとした東京都職員だ。それでも作業着にゴム長靴、アポロキャップといういでたちなので、素人は「魚河岸の大将」と錯覚する。
シャットアウトされた売場での大臣の動向を何とか把握できたのは、筆者が仲卸業者と長く懇意にしているからだ。そうでなければ官僚に都合のいいように情報操作されただろう。大メディアの記者同様に。
【ゼネコンと米投資銀行の罠】
赤松大臣はこの後、豊洲の予定地を視察した。豊洲も大きな「落とし穴」がある。広大な新市場の土壌の入れ替え工事は、巨額な費用を要する。豊洲の場合、1300億円と見積もられている。老朽化し手狭になった全国各地の卸売り市場は、移転問題を抱える所が多い。しかも新市場予定地は過去に汚染が指摘されたケースが少なくない。それらの予定地は、すべて土壌入れ替え工事をしなければならない。
卸売り市場の土壌の入れ替えは、ダムや高速道路の建設が激減しそうなゼネコンにとって新しいドル箱だ。今後あの手この手で赤松大臣を絡めとってくるだろう。
もっと厄介な罠がある。築地市場の移転には世界最大の投資銀行である米ゴールドマン・サックスも絡んでいることだ。この件は国会でも追及され政府も認めている。
もし「竹中・小泉」のような親米路線が再現されるようなことがあれば、ゴールドマンサックスの思う壷だ。郵政民営化に当時の自民党以上に賛成していた民主党議員が今、政権中枢にいる。
築地の移転問題に限らず民主党政権はよほど用心してかからないと、いとも簡単に官僚や米金融資本(ハゲタカ)に食われてしまうだろう。
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