検察リークと記者クラブある限り、第2第3のムネオが生まれる

推認で一審有罪判決を受けた石川智宏衆院議員(右)は、盟友の鈴木氏と久々に顔を合わせ感無量のようすだった。=6日、衆院会館。写真:筆者撮影=

推認で一審有罪判決を受けた石川智宏衆院議員(右)は、盟友の鈴木氏と久々に顔を合わせ感無量のようすだった。=6日、衆院会館。写真:筆者撮影=


 国策捜査で逮捕、起訴され有罪判決を受けた鈴木宗男前衆院議員が6日、仮出所し、国会内で記者会見を開いた。鈴木氏は検察の取り調べ全面可視化を強く訴えた。

 2002年、「宗男ハウス」に代表される「北方領土疑惑」が洪水のようにメディアから垂れ流された。いずれも検察のリークを記者クラブが受けて書いたものだった。北方領土開発をめぐって鈴木氏が業者から多額のワイロを受け取っていた、とする内容だ。

 だが検察が収賄で起訴した(できた)のは、国有林開発にからむいわゆる「やまりん事件」と、網走港の防波堤建設工事(島田建設事件)などだった。北方領土の「ほ」の字もなかったのである。

 起訴した「やまりん」「島田建設」の両事件も冤罪の臭いが濃い。検察が証人を誘導し調書(ストーリー)を作りあげてしまったのだ。裁判は調書優先主義であるため、調書ができた時点で検察側の有利に裁判は進む。有罪が見えてくるのである。鈴木氏側は再審の申請を検討中だ。

 記者会見前、鈴木事務所の関係者が「薄暗い所に長く入っていたので、カメラのフラッシュはたかないで下さい」と要請すると、場内から笑いが漏れた。「いや冗談じゃないんです」。事務所側の言葉に筆者はリアルを感じた。

 席に着きマイクを握った鈴木氏は、ダムが決壊したようにまくし立てた。「冤罪を防ぐには全面可視化しかない」。被疑者本人が頑張って否認しても、検察は証人をたぶらかして調書を採ってしまう、というのである。こうした現場を目の当たりにした鈴木氏の話には、大きく頷かざるを得なかった。

 鈴木氏が逮捕された2002年、検察が事件を作り上げ、記者クラブメディアはお先棒を担いだ。今回、鈴木氏の仮出所が決まった際、家族や鈴木事務所よりも先に記者クラブメディアに情報がリークされた。ほぼ10年を経ても構図は変わっていないのである。

 裁判員制度の下で被告が裁かれるのだが、裁判員はマスコミ報道の影響を否が応でも受ける。検察が事件を作り記者クラブメディアが国民に刷り込む、というシステムが健在である限り、第2第3の「鈴木宗男」が生まれる。

鈴木氏は幾度も目に涙を浮かべた。=写真:筆者撮影=

鈴木氏は幾度も目に涙を浮かべた。=写真:筆者撮影=

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