検察審査会の闇を追及している民主党の森ゆう子議員(参院法務委員会)が、最高裁に命じて「審査事件票」を提出させた。「審査事件票」とは検察審査会の会議を開いた回数や立ち会った検察官の人数など基本的なデータをまとめたものだ。
最初に最高裁から提出された「同事件票」は1度目の議決に関するもので、「被疑者:小沢一郎」と「被疑事件:政治資金規正法違反」の2件以外はすべて真っ黒に塗りつぶされていた(写真・上段)。申し立てを受理した日までが塗りつぶされていることに驚く。
「個人情報でも(捜査の秘密でも)何でもないではないか?」あまりにも不誠実な最高裁の対応に憤慨した森議員が再提出を厳しく求めたところ、約2週間後に「黒塗り」がほとんど外された「事件票」が出てきた(写真・下段)。
8回にわたって会議を開き、検察官延べ1名が立ち会ったことなどが分かる。
だが、強制起訴を決めた2度目の議決に関する『審査事件票』はまだ提出されていない。肝心要の方はまだ闇の中なのだ。
森議員は「『1度目の議決に関する審査事件票』を出した以上、『2度目の事件票』を拒否する理由はなくなった」と話す。2度目の事件票の提出は近いとの見通しを示した。それを足掛かりに問題の核心に迫る方針だ。
森議員の調査により明るみに引きずり出されたのは「事件票」だけではない。検察審査会委員を選ぶソフトは恣意的にプログラムを操作できることが同議員らによる実験で明らかになった。平均年齢が34・55歳(最初は30・9歳)という若い審査会委員を選び出すのはいとも簡単だ。
新聞・テレビで朝から晩まで「小沢はクロだ」と喧伝すれば、社会経験が浅い委員たちの柔らかい脳には「ほとんどクロ」と擦り込まれる。当然議決もクロつまり起訴相当となる。
「嫌いな人間を検察審査会に申し立て、TBSの『朝ズバ』で煽れば刑事被告人にされる。私は小沢さんのことだけを言ってるのではない。検察審査会というものがある限り誰でも刑事被告人にされる恐れがある。法改正で検審を廃止する必要がある」。森議員は検察審査会とマスコミに対する不信感を露にした。
森議員ならずとも両者への疑念や反発は国民の間に渦巻いている。ここを読めない政治家と記者クラブメディアは早晩、国民から見放されるだろう。
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田中龍作の取材は読者に支えられています。