警察が記者会見開放を拒むホントの理由

 運転免許更新のために警察の運転免許試験場に行った。日曜日とあって驚くほど多くの人が来ていた。視力検査や写真撮影で都合2時間近く立って並んだ。結構きつかった。

 警察記者クラブに所属していれば、免許課の幹部に頼み講習さえも受けずに免許更新ができる。そう思うといささか腹が立った。今となっては時効だから言えるが、筆者は会社の管理職の免許更新手続きを免許センターのナンバー2に頼んだことがある。もう20年以上も前の話だ。

 免許センターの有難さは更新手続きだけではない。指名手配容疑者の写真が新聞、テレビに出ているのを見て「オヤッ?」と思った方はいないだろうか。逃げている男の写真をどうして新聞社やテレビ局が持っているのか、と。あの写真は免許センターで接写するのである。

 警察の交通課はクラブ詰めの記者にとって有難い存在だ。飲酒運転をはじめ種々の交通違反をもみ消してもらえる。駐車違反なんて朝飯前だ。

 警察の側も当然見返りを要求してくる。警察ほど不祥事の多い組織も例がない。ハレンチ犯罪、ワイロ、自らの飲酒運転などである。警察の広報官(報道官)は不祥事を書かせないようにするのが仕事だ。「あの件、オタクの社は行く(書く)の?」と聞かれ、記者が「行きますよ」などと言おうものなら、広報官(報道官)は「●●署管内の飲酒運転があったなあ」などと脅してくる。

 警察という組織にあって不祥事は即昇進や異動に密接に影響する。キャリアの世界は特にそうだ。ほとんどのキャリアは地方の県警に本部長として赴任する(例;岡山県警本部長を務めた平沢勝栄衆院議員)。在任期間中に大きな不祥事があると出世は危うくなる。言い方を変えれば上手に不祥事をもみ消した警察官ほど偉くなるのだ。キャリアであろうが、ノンキャリであろうが。

 大手メディアで現在要職に就いている人物でも若い頃に飲酒運転で逮捕されたりしていたら今の地位はないだろう。ねえ「●●テレビのWさん」。

 記者クラブと当局が警察ほど持ちつ持たれつの共生関係にある所は他にない。記者会見のオープン化が進んでいるが、警察だけは最後まで開かないだろう。

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