「ガー、ガー、ガー」。発電機の騒音がガザの街中を包み込む。電力不足のガザは8時間おきに停電と通電を繰り返す。停電の間、ホテルや商店は発電機を回し営業するのだ。
発電機は飛ぶように売れる。小売店の店主は「イスラエル軍の侵攻前は1日に1台売れるか売れないかだったのが、侵攻後は1日に8~10台も売れる」とホクホク顔だ。
発電機の値段は小型が15万円、大型が25万円ほど。中国製だ。音が静かな日本製は値段が倍以上もするため売れない。
ガザで使用する電力の半分以上はイスラエルから送電される。このルートから十分に送電されないことについて、イスラエル側は「ガザ地区からの料金の支払いがない」と説明する。ガザ住民は「イスラエルがいやがらせで停めている」と主張する。どちらの言い分が正しいのか、今ひとつすっきりしない。
また3分の1はEUの支援で建設した火力発電所で賄う。この発電所で使用する石油は陸路で入ってくるのだが、イスラエルが検問所を通さないため石油は入ってこない。こちらの理由ははっきりしている。
ある民家にお邪魔した時のこと。家の主は「あと10分もしたら電気が来るよ」。「何故わかるんですか?」と筆者が尋ねると「8時間停電したら、8時間(電気が」)来るからさ」。
10分が経った。主が“予言”した通り天井の扇風機が「プルン、プルン」と回り始めた。逆境のなかを生き抜いてきたガザの人々は、停電をやり過ごす術も心得ているようだ。
一方、ホテルは停電事情が違う。夜間は発電機を回して電気を停めないようにしているのだが、日中はまばらに通電する。言い方を変えれば、しょっちゅう停電する。ホテルの経営者が発電機の燃料を1リットルでも節約したいためだ。「さあ原稿を書くぞ」とキーボードを叩き始めた途端「バン」と電気が落ちる。これには参った。電気があることの有難さを改めて感じたものだった。
1日のうち半分も停電しているのではまともな生産活動などできるはずがない。電力不足はガザの復興を妨げる大きな要因となっている。
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瓦礫の広域処理で北九州に飛び、大飯原発の再稼働で福井に行き、そして東電の刑事告訴で福島に……『田中龍作ジャーナル』は、現場主義が信条ですが、取材には、思わぬほど費用がかかります。
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