16日、岡田幹事長の定例記者会見。記者団からの質問は「小沢元代表の政倫審招致」に集中した。会見時間42分のうち24分までがこの問題に割かれた。
長くても実があり内容が良ければまだしも、そうではなかった。質問したのべ32人(1人が数回にわたって質問するため)の記者は、手を代え品を代えて同じことを岡田幹事長に尋ねているに過ぎなかった。要約すると「いつ小沢氏に会うのか?」「小沢氏が政倫審への出席を拒否した場合、処分はどうするのか?」というものだ。すべての質問に通底しているのは「小沢性悪説」である。
なんとかして幹事長から答えを引き出したいのだろう。質問は際限なく細かくなり、常識を欠くようになった。
こともあろうにA社の記者は「小沢氏側が土日を指定してきたら、土日でも会うか?」と聞いたのである。
“お前アホか、政治家に土日などないことは百も知ってるだろ!” 筆者はA社記者にフライング・クロスチョップをかけてやりたい気持ちをやっとの思いで抑えた。コブラツイストか卍固めで許してやろう、と思うことで怒りを鎮めた。
冷静な岡田幹事長もさすがにウンザリした表情だった。「私は制限なくお答えするということにしているが、時間に限りもあるし、もう少し良い質問を期待したい」。
小沢氏招致をめぐっては党内で中間派も含めて反発が強まっている。景気は一向に良くならないうえ、増税がのしかかる。「政権党が内紛でゴタゴタしている場合か」というのが国民世論だ。
民主党と同様に国民そっちのけで朝から晩まで「セイ・リン・シン」と騒ぐ記者クラブに筆者は堪りかねた。筆者は幹事長に質問した―
「そもそもこの問題は検察が無理な捜査を重ね、それを記者クラブにリークし、マスコミが『疑惑だ、疑惑だ』と書きたてた。それで政倫審に呼ぶというのは政党の良識としていかがなものか?」と。(筆者の質問は民主党のホームページに動画が載っているので、ご覧頂きたい。)
岡田幹事長は「法的責任と政治的な疑惑は別」と交わした。
筆者はよほど「では政治的な疑惑とは何ですか?」と突っ込もうと思ったが止めた。岡田幹事長を追及しているのではないからだ。岡田氏は民主党幹部のなかでは記者クラブの弊害を最もよく知る政治家のひとりである。
ネットが普及し新聞・テレビが事実を伝えていないことに国民は気付き始めている。『反検察・反マスコミに右も左もなくなった』(12 月5日付け・拙ジャーナル)でリポートした通りだ。
記者クラブが解体されれば世論が変わり、政治のありようも変わってくるだろう。新聞・テレビ離れが進み、国民の方で記者クラブメディアを相手にしなくなることもありうる。こちらの方が可能性としては高いと筆者は見ている。
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参考記事(「反検察・反マスコミ」右も左もなくなった)
http://tanakaryusaku.seesaa.net/article/171981470.html
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