ついに激突! 記者クラブVSフリージャーナリスト ~その6~

幹事社のテレビ朝日記者(右端)に猛抗議する岩上氏(左隣)。テレビ朝日記者は筆者に幾度も「写すな!」と告げた。(21日、総務省記者クラブ。写真:筆者撮影)

幹事社のテレビ朝日記者(右端)に猛抗議する岩上氏(左隣)。テレビ朝日記者は筆者に幾度も「写すな!」と告げた。(21日、総務省記者クラブ。写真:筆者撮影)

 総務省記者クラブが21日、フリーランスのネット中継を実力で排除しようとした。 “事件”は筆者が席を外している間に起きた。

 記者会見室から危うく追い出されそうになったのは「フリージャーナリスト・岩上安身事務所」のUST中継スタッフ2人(男性Hさん、女性Nさん、2人とも二十歳そこそこである)。

 岩上氏は2人と共に総務省に向かっていたのだが、身分証明書を忘れたことに気付き、オフィスに取りに戻ることになった。このためHさんとNさんだけで記者会見室に入っていた。

 記者会見に出席していたフリーランスの寺澤有記者、Hさん、Nさんらの証言で事件を再現する―
  
 田中が席を外すと1分もしないうちに幹事社(共同通信、テレビ朝日)がHさん、Nさんのもとにやって来た。HさんはUST中継のセッティンッグをしていた。

 幹事社「誰ですか?」

 Hさん「岩上事務所のスタッフです」
 
 幹事社「身分証明書を見せて下さい」

 Hさんは総務省の記者会見に毎回のように出席しUST中継をしている。にもかかわらず幹事社はHさんとNさんにに「きょうは出て行って下さい」と命令口調で告げた。

 Hさんから電話で事態を知らされた岩上氏が総務省に駆けつけた。岩上氏は記者会見に登録していることや2人が自分の事務所のスタッフであることを説明した。

 すると幹事社は「映像はどこに流すんだ?」と聞いた。UST中継をしているのだからインターネットと決まっているではないか。何たるアナクロだろうか。テレビ局に流れる映像でなければ映像でないと思い込んでいるのだろう。

税金で賄われるスペースを占有し、しかも撮影禁止とはおかしな話だ。ご法度もお構いなしに我々は撮影した。(21日、総務省記者クラブ。写真:筆者撮影)

税金で賄われるスペースを占有し、しかも撮影禁止とはおかしな話だ。ご法度もお構いなしに我々は撮影した。(21日、総務省記者クラブ。写真:筆者撮影)

 筆者は民主党の「統一地選挙選対本部」発足(弊ジャーナル前項)を取材するため席を外していた。看板掛けさえ終わればすぐに総務省に戻ることにしていた。

 記者会見室を後にする時、心配になったのでNさんに「俺、ちょっと抜けるけど、記者クラブの連中が変なこと言ってきたら、寺澤(有)さんと小川(裕夫)さんがいるからね」と言って安心させたつもりだった。寺澤氏には「何かあったら俺の携帯に電話して下さい」と言い置いた。

 記者クラブの幹事社はうるさがたの田中と岩上氏がいない隙に、HさんとNさんに言いがかりをつけ脅したのである。

 『岩上事務所のスタッフが記者クラブから排除されそうになっている』。民主党本部にいた筆者は寺澤氏のツイートで“事件”を知った。弱い者をいじめる記者クラブに対する怒りで我が身が焦げそうになった。

 「選対本部」看板掛けの撮影を終えると脱兎のごとく表通りに駆け出しタクシーに飛び乗った。高田馬場のあだ討ちに駆けつける堀部安兵衛はこんな心境だったのだろうか。(読者の皆様、ご支援して頂いている身でタクシーなんかに乗って済みません)

 筆者が総務省に着くと岩上氏がすでに駆けつけており、記者クラブ幹事社に対して猛烈な抗議を展開していた。

 岩上氏の剣幕に圧された幹事社は「トライアルの最中に断りなく中継が行われた」「2人が誰だか知らなかった」などと世間では通用しない言い訳に終始した。

 インターネットの動画中継はテレビ局が目の仇にする。テレビ局より先に流し、しかも全部伝える。脅威なのである。記者クラブがフリーランスによるネットの動画中継を認めない理由がここにある。岩上事務所のスタッフに退出を迫った幹事社のうちの1社が「テレビ朝日」だったことは象徴的だ。


総務省記者クラブへの抗議のもようを映像で(IWJ・岩上安身事務所提供)
http://www.ustream.tv/recorded/12143806


田中龍作の取材活動は読者の皆様によって支えられています。

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