国会記者クラブを提訴 「理由なき居候は不法占拠」

国有財産に居候する身でありながら、「会員社以外の立ち入りを禁止する」国会記者会。=国会記者会館正門。写真:田中撮影=

国有財産に居候する身でありながら、「会員社以外の立ち入りを禁止する」国会記者会。=国会記者会館正門。写真:田中撮影=

 

 国有財産でありながら記者クラブが独占する国会記者会館の屋上使用を求めて、仮処分の申請をしていたフリージャーナリストがきょう、国と国会記者会(記者クラブ)を相手どって、本裁判を起こした。

 提訴したのは、ビデオジャーナリストでOur Planet TVを運営する白石草さん(原告)。白石さんは七月第一週の金曜日、恒例となっている首相官邸前の原発再稼働反対集会のもようを撮影するために国会記者会館の屋上に上ろうとしたところ、会館の事務局員に断られた。

 翌週の金曜日、弁護士を伴い再度屋上取材の許可を求めたが、聞き入れてもらえなかった。即日、屋上使用を求める仮処分を東京地裁に申請したが却下され、高裁に即時抗告するも却下されていた。仮処分申請の却下から2ヵ月近く経ったきょう、本訴に踏み切った。

 4階建て、のべ床面積6867㎡の国会記者会館は衆議院が所有するが、国会記者会(記者クラブ)はタダで入居する。居候の身でありながら、「お前たちは使っちゃだめだ」と管理権を主張するのである。

 再稼働反対の金曜集会に訪れていた老男性が、「トイレを貸してほしい」と言ったところ「ダメです」と断られた。納税者の老男性は、国有財産である国会記者会館の“所有者”でもある。居候が家の主人に「お前は使うな」と言っているのに等しい。筆者は激怒し国会記者会館の職員を怒鳴りつけた。「人間として恥を知れ」と。

 記者クラブによる記者室の無料独占の根拠は、1958年の大蔵省財務局通達による。ところが国会記者会館は、役所の庁舎の中にある記者室とは違い、独立した“一戸建て”だ。無料独占の根拠に乏しくなる。

 原告弁護団の井桁大介弁護士によれば、国会記者会は「(会館は)記者室ではない。崇高な目的に基づいて使用している」と、のたまわっているそうだ。

 井桁弁護士は根底的な問題を提起する―

 「国会記者会館を衆議院が記者クラブに貸すという行為は、法律上根拠がよく分からない。普通建物を貸す時は賃貸契約を結ぶが、それがない。行政財産は有償で貸さないと、無償で貸している者を優遇することになる。無償で理由なく借りていれば不法占拠となる」。

“崇高な目的”で会館を独占する国会記者会。=写真:田中撮影=

“崇高な目的”で会館を独占する国会記者会。=写真:田中撮影=

 国会記者クラブ幹事社(朝日新聞、共同通信、西日本新聞、テレビ東京)は今夜、提訴を受けて常任会を開いた。「訴状をよく読んで関係者と相談して対応を決めたい」との結論に達したそうだ。

 自らは崇高であると信じ込んでいるようだが、記者クラブとは既得権益にしがみつく存在でしかないことを、国民はすでに気づき始めている。裁判を通じて、改めて明らかになることだろう。

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