東京都知事選挙(11月29日告示、12月16日投票)に立候補する宇都宮けんじ氏がきょう、事務所開きをした。選挙運動の本部となる事務所は四谷三丁目交差点のそばだ。
東電の勝俣恒久前会長邸とも近い。脱原発を掲げる立候補予定者の事務所が、原発の権化のような勝俣前会長邸と同じ界隈にあるというのは因縁だろうか。
雑居ビルの2階にあり、広さは200㎡ほど。事務所開きには市民運動や環境活動などに取り組んできた人達が駆け付けた。これから来月16日の投票日まで、宇都宮氏の選挙を担う人々だ。
反貧困ネットワーク代表の宇都宮氏は、08年末の派遣村で名誉村長を務めた。湯浅誠村長とともに派遣村を切り盛りした、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長が事務所に顔を出した。関根書記長は派遣ユニオンの推薦状を宇都宮氏に手渡した。使い捨てにされ低賃金に苦しむ非正規労働者たちが、都知事選で応援するという意味だ。
「東京都にも貧困層が広がっている。格差と貧困をなくすためにも宇都宮さんに期待している」。関根氏はこう語り、口を真一文字に結んだ。
訪れた人を前に宇都宮氏が決意を述べた――
「(前略)…13年と半年の石原都政で東京は痛めつけられた。福祉は切り捨てられ、人は夢を奪われ傷ついている。内閣を変える、国会を変える運動と連携したい」。脱原発候補を推す選挙運動が全国レベルで広がっていることを示す発言だ。
職員会議での教員の挙手・採決を禁じた都教委の通知を批判し続けたため、再雇用されなかった都立三鷹高校の土肥信雄校長の姿もあった。
土肥元校長は「石原都政で一番破壊されたのが教育。石原の腹心の教育委員会(日の丸・君が代強制など石原知事の意向を汲んだ施策が目立った)を変えるために宇都宮さんに都知事になってほしい」と期待を込める。
石原都政から民主主義を、自民党と民主党政治から生活を取り戻すために立ち上がった人達が、選挙事務所で交錯した。
選対本部長を務めるのは、「脱原発をめざす首長会議」の上原公子事務局長だ。
「都内1万4千か所ある掲示板のポスター貼りは、ぬかりなく」「電話攻勢がよくきく」……上原本部長が今後の動き方について指示を出し、事務所開きを締めくくった。
地域や団体ごとの「勝手連」が動き始めているが、選挙慣れした「国民の生活が第一」(宇都宮氏支持)の支援も、今後の選挙戦を左右する。