未来の党・嘉田代表 「いのち をつなぐ女性の声を届ける」

未来の党を歓迎する有権者からもみくちゃにされる嘉田代表。=1日午後、大宮駅前。写真:島崎ろでぃ撮影=

未来の党を歓迎する有権者からもみくちゃにされる嘉田代表。=1日午後、大宮駅前。写真:島崎ろでぃ撮影=

 滋賀県知事のまま中央政界に躍り出た嘉田由紀子・日本未来の党代表。初の全国遊説の場所に選んだのは、枝野幸男経産相の地元の大宮(埼玉5区)だった。

 2日午後、演説会場のJR大宮駅前では、「勝手連」のボランティアたちが配るビラを道行く人が次々と受け取った。演説が始まる頃には人だかりができていた。自・公・民のような動員はない。嘉田代表は耳を傾ける有権者一人ひとりに語りかけるように話した―

 「原発事故をもう2度と起こしてはならない。子供たちの将来に不安を与えてしまった。子供が産めない、育てられない。子供と女性の声を国政に届ける…」。

 官房長官時代に「メルトダウンはしていない」「ただちに健康に影響が出るものではない」などと言い募り、多くの福島県民を被曝させた枝野経産相への痛烈なあてつけとも取れる演説だ。短い内容の中に今回の衆院選を貫く「未来の党」のスピリットが詰まっていた。

 有権者に聞いた―

 「やっと受け皿ができた。環境と命を守る選挙になる。嘉田さんは普通の人、弱者をきちんと守るだろう。枝野に期待していたが酷かった。民主党に力がなかったのは分かるが、筋を通してほしかった。(かといって)自民党政権に戻ってほしくない」(地元大宮の女性・年金生活者)

 「原発を封じ込めてほしい。『私が小沢さんを使いこなす』と言った嘉田さんのガッツは凄い。『未来の党バッシング』があっても乗り越えるだろう。日本のオバちゃんの底力だ。自分は選挙区が違うが比例は『未来の党』に入れる」(さいたま市内在住の主婦・60代)

選挙用ポスター発表。淡い緑は自然をイメージしている。手前は森ゆうこ副代表。=1日昼過ぎ、麹町。写真:島崎ろでぃ撮影=

選挙用ポスター発表。淡い緑は自然をイメージしている。手前は森ゆうこ副代表。=1日昼過ぎ、麹町。写真:島崎ろでぃ撮影=

 街頭演説に先立ち「日本未来の党」は都内のホテルで政策を発表した。「脱原発」と「消費増税反対」が2枚看板だ。

 10年後に原発をなくすために「卒原発カリキュラム」を設けた。
・大飯原発の即時停止(他の原発の再稼働も認めない)
・大間原発等の建設中を含む原発新増設の禁止
・「もんじゅ」と六ヶ所再処理工場の即時廃止
・原子力輸出の禁止 
…など8項目からなる。
     
 民主党は「2030年代までに原発ゼロを目指して政策的資源を集中する」としながら大間原発の建設再開を認め、稼働していない「もんじゅ」と「六ヶ所村の再処理工場」に予算をつけ続ける。

 霞が関文学で取り繕う民主党の「なんちゃって脱原発」とは明確に一線を画する。

 消費税を増やさないことによる財源不足は、官僚の財布である特別会計の組み替えで補う。嘉田代表は「地方に財源と権限を与えることで(霞が関から押し付けられる)ムダを省く」と説明した。

 小沢一郎氏が民主党幹事長時代これに取り組むはずだったが、陸山会事件でとん挫した。一般会計の2倍以上もあり、国会のチェックもない特別会計こそが無駄の象徴である。嘉田代表が、財源への手の突っ込み方を知っている小沢氏と組む。霞が関と記者クラブの妨害に遭う恐れがある。

 選挙公示の4日から全国津々浦々に貼られる「日本未来の党」のポスター発表で、嘉田代表は次のように思いを語った―

 「今だからこそ女性や子供の思いを届ける。子供を産み育て、先祖から子孫まで い・の・ち(嘉田代表はこの3文字をゆっくり発音した)をつなぐ存在としての女性の力。このポスターで全国の皆さんに訴えていきたいと思います」。

 《文・田中龍作 / 諏訪都》

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