民主党幹部の口から参院選挙での敗北を予期するような発言が飛び出した。14日、「反貧困ネットワーク」が、マニフェスト作りを進めている民主党に貧困施策の充実を求める申し入れを行った時のことだ。
「国民の生活が第一」を掲げて政権交代を成し遂げた民主党だが、政権運営に不慣れなこともあって、国民の生活水準は全くと言ってよいほど向上していない。むしろ悪化しているのが現実だ。その煽りを受けているのが、難病患者、非正規労働者、生活保護受給者などの社会的弱者である。
「反貧困ネットワーク」のメンバーは民主党本部を訪れ細野豪志副幹事長と面談した。
「患者の生活・就労をつむぐ会」の山本創代表は「社会保障の対GDP費が日本の場合19%しかない。ヨ-ロッパは30%を超える。もしマイナスシーリングとなれば官僚に丸投げとなり弱者にシワ寄せがいく。予算を削減するにしてもターゲットを絞ってやってもらいたい。制度の谷間のない障がい者政策を(マニフェストに)盛り込んでもらいたい」と要望した。
非正規労働者で組織する「首都圏ユニオン」の河添誠書記長は店ざらしにされている「労働者派遣法」について申し入れた。「3党合意から交代したものが政府案として(国会に)出ている。このまま進んでしまうと多くの労働者は救済されない。派遣労働者の実態を精査して頂いて抜本的な改正を御願いしたい」。
今国会に上提されている「改正労働者派遣法案」は確かに抜け穴だらけだ。だが「登録型派遣の禁止」「製造業への派遣禁止」は、派遣労働者を使い捨てにしてきた現状を改善するものとして評価する向きも多い。
河添書記長の要望に対して細野副幹事長は次のように答えたのだった。「参院選には勝ちたいと思っているが必ずそうなるとは限らない。(負けることで与野党が)ねじれてしまうと法案が通らなくなる。不測の事態を考えて半歩でも前進させておいた方がよいのではないかと思う」。
細野副幹事長の見通しは確かに現実的で評価できる。だが幹部自らが選挙で敗北した際のことを想定した回答をすることに、驚かざるを得なかった。語るに落ちたのだろうか。親分の小沢幹事長は「必ず勝つ」と言って憚らないのに……。
国家運営に欠かせない安全保障をめぐってトップが「学習すればするほど抑止力の重要性がわかった」などと、しゃあしゃあと口にする党だ。“やはり私たちの生活を安心して任せることはできないなあ。”こんな思いを深めるのは筆者だけだろうか。
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