政権交代を勝ち取ったマニフェストを国民に断りなく変えようとしている民主党と「小沢叩き」に血道をあげる記者クラブメディアに対して、市民たちが10日、都心で抗議のデモを行った(主催:「1・10 国民の生活が第一デモ」実行委員会)。
一昨年夏、「コンクリートから人へ」を掲げて総選挙に臨んだ民主党を有権者は支持した。小泉・竹中以降の自民党政権でガタガタにされた国民生活が少しでも良くなればとの思いからだった。
ところが民主党政権になってもちっとも生活は上向かない。そればかりか菅首相は参院選で有権者から「ノー」を突きつけられた消費税増税を性懲りもなくマタゾロ言い出す始末だ。
国民の窮状などお構いなしで権力闘争に明け暮れる政治に市井の人々は絶望し、さらには憤慨している。
それもそのはず。政治家が向いているのは国民ではなく記者クラブだからだ。庶民の生活は一顧だにされないのである。官邸や霞ヶ関と利害を同じくする新聞・テレビは連日連夜の「小沢バッシング」だ。最近では「増税やむなし」を当たり前のように唱え始めた。
「菅政権」「記者クラブメディア」「霞ヶ関」の利害が重なり合っていることは、これまで拙ジャーナルで幾度もリポートしてきた。
10日の東京はこの冬一番の寒さとなった。身もすくむような冷たい風が吹くなか関東一円から約1,000人がデモに参加した。愛知県 みよし市から駆けつけた会社員の男性(50代)も。男性は「マスコミの報道が許せない。じっとしておれなくて来た」と肩を揺すりながら話した。
筆者は片っ端から参加者にインタビューした。参加者全てと言ってよいほど共通していたのは、記者クラブメディアの報道に対する怒りだった。都内在住の男性(50代)は「小沢さんの事件の経緯をたぐると記者クラブ問題に行き着く」と目を吊り上げる。
ほとんどの参加者は、総務省記者クラブがフリージャーナリストを排斥しようとしていることを知っている。
幽霊よろしく白装束をまとった男性(50代・練馬区)の姿もあった。世論は死んだというアピールだ。男性は「マスコミは真実を伝えていない」と淡々と語った。
デモを見る限り新聞・テレビ離れが進んで当然の状況があった。既得権益を守るために記者クラブで徒党を組み、小沢氏を政治的に屠ろうとしているのである。国民はそれを見抜きつつある。
「民主党は政権交代の原点に帰れ」「記者クラブを解体せよ」・・・晴れ着の女性が行き交う六本木交差点にシュプレヒコールが響いた。
成人の日のデモとなったが、日本の政治とマスコミが大人になる日はまだ遠いようだ。
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