剛腕で鳴る民主党の小沢一郎元代表をして「全く秘密のベールの中に閉ざされておるのでございます」(10月7日記者会見)と言わしめた「東京第5検察審査会」。証拠さえも捏造し狙った大物を仕留める最強の捜査機関である検察でさえも起訴できなかった小沢氏を強制起訴に持ち込んだ「超・最強捜査機関」である。
審査会委員の平均年齢が34・55歳(当初発表は30・9歳)という若さにも驚くが、どんな議論が何回なされたのかも明らかにされない。
秘境、魔境を覗きたくなるのがジャーナリストの性(さが)である。筆者は4日午後1時、仲間のフリー記者らと総勢5人で検察審査会に踏み込んだ。もちろんアポなしだ。事前に打診したりすれば、断られるのは必定だからだ。百聞は一見にしかず。以下のことが判明した―
場所は東京地裁・高裁(霞ヶ関)の3階にある。広さ約200㎡のオフィスに第1から第6まで六つの検察審査会が置かれる。正確に言うと検察審査会の事務局だ。議論は裁判所の別の部屋で行われる。
全国の検察審査会は各地の地裁にある。職員は検察審査会法により裁判所の事務官が務める。検察の事務官でも、政府の役人でもない。6つの東京検察審査会には計23人の裁判所事務官がいて、粛々と執務していた。
同行の畠山理仁記者はここで「行政文書開示申出書(情報開示請求)」を出した。畠山氏が知りたいのは、審査員の年齢をめぐる謎だ。
東京都の有権者の中から選ばれた11人が平均年齢34・55歳となる確率は0・0063%以下という試算もある。数十万分の1だ。審査員は本当に実在するのだろうか。
事務局は本人特定につながることを盾に審査会について隠し抜いている。そこで畠山氏は「年齢」を足がかりに実在するのか否かを確かめようとしているのだ。
書類を提出する畠山氏の後ろ姿を撮影しようとした時だった。「写真は撮らないで下さいよ」、事務官の鋭い声が飛んだ。
(つづく)
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