「押尾容疑者逮捕劇」と政権交代

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連行される押尾容疑者を待つ報道各社カメラマン(警視庁麻布警察署前で。写真=筆者撮影)

  合成麻薬(MDMA)使用による逮捕劇第1幕から4ヵ月後、第2幕が上がった。警視庁は、銀座ホステスの女性(30歳)に合成麻薬を譲渡した疑いで元俳優の押尾学容疑者の逮捕状を取り身柄の確保を急いでいる(7日午前7時現在)。

 押尾容疑者に合成麻薬を渡したとされる友人の男についても逮捕状を取っているが、行方がつかめていない。男の身柄確保は、押尾容疑者が女性に合成麻薬を渡した容疑を固めるうえで鍵を握る。

 押尾容疑者をめぐっては、死亡した女性を放置した保護責任者遺棄容疑も持たれており、警視庁は同容疑での立件を視野に入れているとされる。凶行犯を扱う捜査一課が乗り出したのはこのためだ。第2幕は劇のクライマックスとなる可能性もある。

 今回の事件をめぐってはある大物政治家の息子が黒幕的存在といわれている。父親に似て知性、人間性ともお粗末だ。

 それにしても女性の死亡をめぐる警察の捜査はあまりにも慎重過ぎた。早期の幕引きを図っているとの報道もあった。警察ほど政治に弱い組織はない。予算と人事を握られているからだ。もし政権交代がなかったら女性の死亡について立件に向かわなかったことも十分考えられる。

 両親はメディアに向かい肉声で押尾容疑者の責任を厳しく問うた。両親の訴えがなかったら、相撲の時津風部屋で兄弟子のリンチにより若い力士が死亡した事件同様、闇に葬り去られる恐れがあった。

 麻布警察署前は連行される押尾容疑者を待つカメラマンで溢れかえっている。押尾容疑者の逮捕状を取った4日夕以降、各社のカメラマンは麻布警察署に張り付いている状態だ。任意同行ではなく逮捕状を取っているので、警察に引っ張ってくるのは深夜でも未明でも構わない。カメラマンはじっと我慢して待ち続けなければならない。

 ある雑誌社のカメラマンは「3交代で張り付いている」という。冬の張り番はつらい。5日午後の東京地方は冬の冷たい雨が降った。「びしょ濡れになった。寒くて死にそうだった」と眉をしかめた。

 逮捕状の執行が遅くなるほど押尾容疑者に対する世論の批判は厳しさを増す。大物政治家の圧力がかすむ位、世論が盛りあがった方がよい。

 「押尾事件」の本筋とも言える保護責任者遺棄容疑について鍵を握る友人の男の身柄が生きて確保されることを願うのみだ。

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