築地移転見直しへ、都議選で自民大敗受け

 「石原悪政」の一つである築地市場の移転が見直されそうだ。石原知事は17日の定例記者会見で、移転計画を進めている築地市場について「今更という感じもするが(現地での再整備も)検討したらいい」との考えを明らかにした。12日に行われた東京都議選で「築地の現地再整備」をマニフェストに掲げる民主党が第1党になったことを受けた記者の質問に答えたものだ。

 移転に伴う巨額な予算の承認などを考えると、「移転反対」を掲げる民党、生活者ネット、共産党が都議会の過半数を占めたことから、移転は困難な状況となった。

 東京オリンピック誘致に伴う再開発計画の思惑から、石原知事は江東区豊洲への移転を強引に進めてきた。だが、東京ガス工場跡地の豊洲は、発ガン性のあるベンゼン、神経障害を引き起こすシアンなどが環境基準を大幅に上回って土壌に含まれていることが明らかになっている。

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築地市場を視察する民主党の菅代表代行ら(07年、写真=筆者撮影)

 「食の安全」に対する庶民の関心は高く、07年の参院選・東京選挙区では「築地移転反対」を訴えた民主党候補2人が上位当選した。

 移転を強行したがっている石原知事と自公を追いこむために「考える会」は、戦略的に動いた。野党国会議員を巻き込み、都議会議員選挙でも民主党候補の選挙運動の先頭に立った。石原都政を支えてきた現職都議で元議長の内田茂氏を落選させるために、千代田区では民主候補の栗下善行氏を支援した。「考える会」の山崎治雄代表ら幹部がマイクを握り、豊洲へ移転することの危険性を訴えた。

 移転に反対してきた仲卸業者などで作る「築地市場の移転を考える会」の中心メンバーは、「(再整備も)検討したらいい」とする石原知事の発言を歓迎した。

 山崎代表は「石原知事は消費者にはかなわなかった。移転反対の民意が示された」と胸を張った。

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