【ハケンという蟻地獄】「グッドウィル給料天引き訴訟」が和解

 人材派遣会社「グッドウィル」(昨年7月廃業)が、「データ装備費」と称して給与から違法に天引きしていた問題で、派遣労働者が全額返還を求めていた裁判は、請求額455万円を上回る金額をグッドウィル側が支払うことで13日、和解した。

 訴えによるとグッドウィルは1995年から12年間にわたって「データ装備費」という名目で1勤務につき200円を徴収していた。グッドウィルは「労災などに対応するため徴収していた」と説明していた。だが労働災害が発生したにもかかわらず払われた実績はなかった。

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グッドウィルを提訴(昨年8月23日、東京地裁。写真:筆者)

  高給所得者は「たかが200円」と思うかもしれないが、派遣労働者にとっては深刻だ。一例を挙げよう――派遣先の企業は派遣労働者に対して日給1万円~1万3,000円を払っているが派遣会社はここからマージンをピンハネし、派遣労働者の手元に渡るのは7,000円前後だ。グッドウィルはさらにここから200円を天引きしていたのである。1ヶ月20勤務したら、4,000円だ。コンビニのオニギリが40個近く買える。

 
 今回の和解で、給料未払いの時効にかかる2年以上前のピンハネ分は対象となっていない。10年分は派遣労働者の泣き寝入りになるのだろうか。

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マージンからさらにデータ装備費がピンハネされていた(写真:筆者)
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