総選挙の前哨戦と言われ今後の政局に重大な影響を及ぼす東京都議選は、いよいよ明日12日、投開票だ。メディアはこぞって「民主圧勝、自民惨敗」と囃したてている。筆者は都心のある1人区をのぞいてみて頷いてしまった。
自民党の候補は当選6回の現職で地元の面倒も良くみる。前回2005年の選挙でこの現職に挑んで敗れた別の民主候補は「ここで●●先生の地盤を打ち破るのは誰がやっても無理ですよ」とシッポを巻いた。
ところが今回は様相が一変している。新人で知名度も低く演説もヘタな民主候補がリードしているようなのだ。都市開発の利権絡みで自民との太いパイプを持つ区長には、民主も相乗りしている。このため区長は選挙では「表向き」特定政党の候補に肩入れすることを控えてきた。
だが今回は自民候補を全面的に支援する。現職の区長が選挙カーに乗って「●●をよろしく御願いします」と連呼するのである。ウグイス嬢ならぬ「ウグイスおじさん」だ。「自民党の…」とは決して言わない。「自民隠し」は強烈な逆風が吹いていることを物語る。
区長は数字を把握したうえで現職の自民候補が不利と知り、「ウグイスおじさん」まで買って出ている。選挙の趨勢は期日前投票に現れる。首長は選挙管理委員会を通して数字を知る。
市町村区の選管は市町村区の職員、都道府県の選管は都道府県の職員……。首長が自らの親方だ。期日前投票の数字を首長に教えるのは“業務”のようなものである。
首長が多い自民党の方が、民主党より一次情報としては正確なデータをつかんでいる。だがマスコミや政治家人脈を通して民主党にもデータは流れる。当選確実の候補の顔はピンク色を帯び、敗色濃厚な候補は顔がこわばり色味がない。筆者が見るに民主党の方が顔色は良いようだ。
今回の都議選は「新銀行」や「築地移転」などの問題を抱える石原知事の悪政に対する審判でもある。明日(12日)は投票所に行って民意を示したいものだ。