究極の小沢支配か、「陳情の幹事長室一本化」 

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「陳情の一本化」を発表する小沢幹事長。左は農水省への陳情を担当する一川保夫・副幹事長(民主党本部で。写真=筆者撮影)

 地方議員や市町村長が自民党本部の廊下で順番待ちをし、議員会館では両手に持ちきれないほどの特産品を携えて地元選出議員に面会する。橋、道路、新幹線、空港などを作ってもらうためだ。

 陳情団で賑わう光景は、予算編成期を迎える永田町の師走の風物詩ともなっていた。各省庁に強い影響力を持つ族議員は、地方や業界からの陳情をトップ官僚に取り継ぐ。政官の持たれあいと利益誘導政治は永田町・霞ヶ関の当たり前の風景としてあった。

 こんな風景が一変するかもしれない改革を民主党の小沢幹事長が打ち出した。今後すべての陳情は幹事長室を通して一本化される。「陳情の抜本的改革」だ。2日の役員会で決定され即日実施となった。

 これまでのように国会議員が地方政治家(都道府県議会議員、市町村長、知事)を連れて大臣や官僚に陳情に行くことはできない。役員会後の記者会見で高嶋良充・筆頭副幹事長は「大臣であろうとも陳情処理は幹事長室を通してもらう」とまで言明した。

 具体的に陳情の窓口となるのは14人の副幹事長だ。銘々が一つないし二つの省庁の専任となる(筆頭副幹事長の高嶋良充氏と細野豪志幹事長は『総括担当』)。「副幹事長団」の大半は小沢氏の腹心である。

 「陳情改革」の理想は、日本の政治を蝕んできた政官癒着と利益誘導からの脱却だ。だが反面で小沢幹事長の支配力はさらに増すことになる。また14人の副幹事長と幹事長が新たな「族議員」となることも可能だ。

 【地方の自公支配終わらせるために】
 地方からの陳情は、ややもすると民主党地方議員でありながら、自民党の国会議員を通したりしていた。国政選挙の際は、陳情処理の「恩返し」をしなければならない。国政選挙で民主党候補者の得票数が、選挙区内の民主党県議会議員の票を足した数より少なかったりするのはこのためだ。

 中央では民主党が政権を取ったが、地方議会ではまだ自公支配が続く。陳情の窓口を幹事長室に一本化すれば、自民党系の知事に陳情が流れることを防ぐこともできる。陳情処理が票と結びつくのは「選挙の法則」でもある。地方の自公支配を終わらせたい小沢氏の意図がうかがえる。

 「民主主義は煎じ詰めると政党政治だ。地方であろうが、中央であろうが、政党としての考え方を地方の皆様にも理解して頂く」。地方の首長選挙での相乗りについて筆者が質問した際、小沢氏はこう答えた。地方の末端まで政党政治を行き渡らせたいとする小沢氏の考えがよく現れている。

 陳情の幹事長室への一本化は、もし徹底されれば全国津々浦々にまで政党政治という名の「小沢支配」が及ぶことになる。

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