【ガザからの便り】 新型インフルエンザで教え子も死んだ

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集めた薪は暖を取るのに使う。ガザの冬の夜はしんしんと冷える(写真=筆者撮影)

 ガザの友人から便り(メール)が届いた。新型インフルエンザが流行っているのだという。友人が知りうる限りでも30人が死亡、300人が病に伏せっているそうだ。数字は、ハマス系の新聞・テレビ報道でつかんだのだろう。

 イスラエルによる経済封鎖の影響で満足に薬はない。仮にあったとしても庶民には薬を買う金がない。児童の多くは栄養失調にあるので病気になりやすい。友人は小学校で教壇に立っているが、メールには「教え子が先週、インフルエンザで死亡した」と綴られていた。

 ガザの冬は、夜ともなれば東京とさして変わらないくらい寒い。室内にいてもストーブが離せないほどだ。寒さと栄養不足で大人にも多くの死者や患者が出ているのではないだろうか。ハマス系メディアの発表は少なく見積もっている可能性がある。ハマスの存在意義に関わるからだ。

 ハマスがガザで選挙により政権をファタハから奪取できたのは、医療や福祉などで人々への面倒見が良かったから、とされている(資金源はオイルマネーで潤うイランというのが有力だ)。にもかかわらずインフルエンザで夥しい数の死者を出したとあっては面目がない。ハマス幹部がこう考えても不思議はない。

 イスラエルの軍事占領で人々の生活は疲弊する→面倒見の良いハマスが台頭する→武装闘争を激化させる→イスラエルが軍事報復→人々の生活は困窮する→面倒見の良いハマスに支持が集まる。

 ガザを支配しているのは悪循環の構図だ。米国のオバマ大統領は、ノーベル平和賞受賞演説で「正義を勝ち取るための戦争」と言った。ハマスもイスラエルも「正義は我にあり」と主張する。

 イスラエルの占領に対する抵抗組織がハマスだ。イスラエルは防衛のために占領を続ける。どちらも譲りっこない。戦争は永遠に続くことになる。

 友人から便りが届いた12月14日は折しも、ハマスの22回目の設立記念日だった。BBCはハマスのシンボルカラーである緑の旗を振る支持者で溢れかえるガザの街の様子をライブで伝えていた。

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