「派遣村を繰り返すな!」~まやかしの制度改正

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厚労省に向かってシュプレヒコールをあげる非正規労働者のユニオン(写真=筆者撮影)

 突然の解雇に遭い仕事と同時に住宅も失った非正規労働者たちが炊き出しとテントを求めて東京・日比谷公園に長蛇の列を作った「派遣村」から一年が経つ。

 「派遣法はワーキング・プアの元凶だ」「元凶をなくすぞ」。冬の冷たい風が吹き付ける17日朝、厚生労働省前に派遣労働者らのシュプレヒコールが響いた。この日、労働者派遣法の改正に大きな影響をもつ労働政策審議会(厚労省の諮問機関)の公益委員案が示されるからだ。

 「派遣法の抜本改正」で合意した民主、国民新、社民の3党が政権を奪取したが、公益委員の中核は自公政権下と同じメンバーである。派遣労働者のユニオンは派遣法の抜本改正が骨抜きにされるのではないか、と危惧していた。審議会には労働界からも代表が参加しているため「流れ」をつかんでいるのだ。

 公益委員が示した改正案は予想通り「まやかし」だった。仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ「登録型」派遣は禁止されることになったが、実施は3年後からだ。

 大量の「派遣切り」で社会問題化した製造業への派遣は長期の「常用型」に限って認めるとした。だが有期であることには変わりなく、用済みになれば解雇が可能だ。使い捨てにされる状況はこれまでと同じなのである。残念ながら大メディアの報道はそれを指摘していない。

 「政府が代わってもお役所は代わっていないことに失望した。どうしてこんなに3党(民主、国民新、社民)合意とはずれた案を役所は出してくるのか」。シュプレヒコールをあげた派遣労働者(41歳・男性)は肩を落とした。

 デフレは派遣労働者を直撃する。時給は1,000円から900円に、日給(引越し作業)は7,000円から6,000円を切るところまで下がった、という。「1週間に5日働けたとしても、交通費は自腹なので月収は10万円チョボチョボです。もう生活してゆけない」。前出の派遣労働者は消え入りそうな声で語った。

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