8ヶ月に渡って迷走を重ねた米軍普天間基地の移設問題は、現行案の辺野古周辺に戻ってしまった。社民党には連立政権からの離脱を主張する勢力があるが、これに対する亀井静香金融・郵政担当相の諌め方がさすがである。
亀井氏は独特のダミ声で「(辺野古への移設は)実現するはずがないことで連立離脱と言って玉砕するのはナンセンスだ」。政界きってのケンカ上手と言われる亀井氏は戦局を読んだうえで、旧日本軍のような負け戦は止めろと説いているのである。
亀井氏が見抜いている通り辺野古への移設は、現状を踏まえる限り不可能だ。辺野古沿岸を埋め立てるのは知事の認可が要るのだが、仲井真弘多知事はサインしないものと見られている。
もともと仲井真知事は06年の知事選で辺野古への移設容認を掲げて移設反対の候補を破り当選した。だが鳩山首相が昨夏の総選挙で「最低でも県外」などと言って県民を煽ったことで、県民世論は「辺野古反対」にほぼ一色に染まってしまった。仲井真知事がサインなどできる状態ではなくなってしまったのだ。
11月には沖縄県知事選挙が控えているが、「辺野古容認」を掲げようものなら落選は免れまい。寝た子を起こしてしまった鳩山首相の罪は重い。第一、米国も地元の同意が必要との条件をつけている。
「鳩山後、問題を白紙に戻し新首相の下で辺野古移設をやり直す」というシナリオが、連休頃までは永田町・霞ヶ関にあった。ところが鳩山政権が地元を乱れた麻のごとくこじらしてしまった結果、誰が新首相となっても辺野古への移設は困難な状況となってしまった。亀井大臣の言うように「実現するはずがない」のだ。
社民党は「玉砕するな」より「玉砕を急ぐな」である。
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