消費税増税が今週木曜日(21日)にも国会本会議で採決されそうだ。民・自・公による野合の産物だが、「小沢外し」が垣間見える。「税と社会保障の一体化」は目眩ましにも等しい。
「今、増税をしなければ財政は破綻する。ギリシャのようになってもよいのか?」。政府広報を担う新聞・テレビの論調である。馬鹿を言っちゃいけない。
92兆4,116億円の一般会計に対して、特別会計は220兆2755億円(一般会計との重複分のぞく=両者とも平成23年度)。官にとって聖域中の聖域である。補助金、交付金、出資金の形で「独立行政法人」「特殊法人」「公益法人」などに流れ込む。これら法人は「公務員の天下り先」である。
一般会計は国会にチェックされるが、特別会計はノーチェックだ。公務員の使いたい放題である。しかも一般会計の2倍以上の予算規模だ。塩爺こと塩川正十郎・元財務大臣をして「母屋がおかゆを啜って離れがすき焼きを食べて」と言わしめたのは、このことである。
「国を食い潰すシロアリを退治しろ」。東京のダウンタウン池袋でオバサン、オジサンがきょう「消費税増税反対デモ」を繰り広げた。
元レバノン駐在大使の天木直人氏も参加した。「消費税は弱い者いじめ。国民の大事な税金を無駄使いしたのは官僚と政治家だ。彼らが責任を取ればいい」。官僚出身で手の内を知る天木氏は明快に語った。
「(消費税増税に)賛成しているのは国会議員だけ。国民は反対だ。こんな法案が通ったら国会を解散して信を問わなければならない」。こうブチ上げるのは池袋が選挙区の小林こうき衆院議員(民主党)だ。消費税をめぐっては、野田政権の身内からも火の手があがっているのである。
デモの隊列には『一揆』のムシロ旗も翻った。持っているのは武蔵野市在住の派遣社員(40代・男性)だ。「(消費税増税は)怒り心頭に発している。増税されたら生活は大打撃だ。09年の選挙で民主党に入れた票を返してくれと言いたい」。男性は目を充血させながら語った。並の怒りではない。
不景気に増税して税収が増えはしないことを財務官僚は分かっているはずだ。景気がさらに悪化すれば、ただでさえ増税によるコスト増で苦しむ中小・零細企業は倒産が相次ぐであろう。
大量の雇用が失われ、国保財政はパンク。セットでTPPに加盟する。財務官僚と彼らに操られる野田民主党は日本をどこに連れて行こうとしているのだろうか。
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