【諏訪都リポート】~下~ 家庭で出来るソーラー発電 小さな電力を小さく使う

手に持っているのは車のドアロック等に使われる無線リモコン。それを利用し、照明器具のスイッチにした。少々上級者向けのようだが、照明の配線をシンプル化できる優れものだそうだ。=写真:諏訪撮影=

手に持っているのは車のドアロック等に使われる無線リモコン。それを利用し、照明器具のスイッチにした。少々上級者向けのようだが、照明の配線をシンプル化できる優れものだそうだ。=写真:諏訪撮影=

 「難しいことは、電線の選択と接続知識です。工具の選び方、使い方などは、ある程度勉強する必要があります。あとは、+と−を間違わないこと、並列と直列つなぎ程度の知識があれば何とかなります。ベランダや部屋に合わせてのアイデア勝負」。りんこさん(ハンドルネーム)は淡々と語った。理科の基礎知識と少しの勉強で何とかなりそうだ。

 りんこさんの妻は当時を振り返る。「最初はソーラー発電なんて、無理だと思った。実際にかかった経費を見れば、電気代の節約で元は取れないが、自宅ソーラーをやって分かることもある」。

 妻は話を続けた。「政府は再生可能エネルギーは絵に描いた餅だと言うが、こうやって素人にも出来る。技術が発達してきた様に、もっと努力するべき。携帯電話の進歩を見れば、機器の値段も通話料も少しの間で信じられない程安くなっているじゃない」。まさにその通りだ。

裏からみたソーラー。「パネルを固定するのに、押し入れで眠っていた室内用の物干し台と使わなくなっていた物干し竿を再利用した」と、こりんさん。=写真:諏訪撮影=

裏からみたソーラー。「パネルを固定するのに、押し入れで眠っていた室内用の物干し台と使わなくなっていた物干し竿を再利用した」と、りんこさん。=写真:諏訪撮影=

 りんこさんが進めるソーラー発電で1つ重要なことがある。消費電力を抑える工夫として直流12Vで使えるLED電球(※)を使用していることだ。

 ソーラー発電では、発電した電気を直流12Vのバッテリーに蓄積する。通常の電化製品は交流100V(AC100V)対応なのでそのまま使うことは出来ない。

 このため、コンバーターを繋ぎ高い電圧(直流12V→交流100V)に変換する。消費電力の少ない機器は、変換された電気を、ACアダプターなどでさらに小さな電気に変換する。

 つまり元々小さい直流電気を交流に変えて大きくしたり、さらに小さくしたりして使っているのだ。その際、電気のロスや不要な熱が発生する。

 (電力会社からの100V交流を使わず)「町中のLED電球を(直流)12Vベースの電球に切り替えると消費電力は半分になります。原発何基分も電力が節電できるのではないか。小さくて済む小さいエネルギーを、近くで作って小さいまま使う。そうやって自然エネルギーを大事に使うことで、地球にも優しい循環社会が作れるのだろうと実感します」。

 ソーラー発電をしてみて気づいた事だと、りんこさんは言う。自分で電気を作り出すという事が、いかに意味がある事か、筆者は取材を通して考えさせられた。自宅で発電すれば、電力会社が停電しても、家は明るいままなのだ。

 冷蔵庫など大容量の家電は電力会社に握られたままだが、電力会社に100%を支配されている今の家庭状況から少しでも脱却できる。それがオフグリッド・ソーラー発電ではないだろうか。

 一軒家の特権と思われていたソーラー発電だが、通気口などを通せば、壁に穴など開けずにできるので、賃貸マンションでも実現可能とのことだ。電気の事を知るきっかけにもなり、そこから市民による共同発電などにも繋がって行くだろう。一度やってみる価値はありそうだ。

 ◇
(※)直流12V(DC12V)のLED電球:あまり市場に出ていないが、ネットや自動車用品点などで購入可。交流100V(AC100V)のLED電球よりは値段は高い。

, , , , , .