生活・小沢代表 「原発に依存してしまった」 自民党時代を反省

定例記者会見に臨む小沢代表。隣は谷亮子議員。=29日夕、「生活」党本部。写真:田中撮影=

定例記者会見に臨む小沢代表。隣は谷亮子議員。=29日夕、「生活」党本部。写真:田中撮影=

 「国民の生活が第一」の小沢一郎代表は今夕の定例記者会見で、筆者の質問に「(自民党時代に)原発に依存してしまったことを反省する」と述べた。

 政治家が国の根幹をなし、しかも自らが関わった政策について自己批判するのは極めて稀だ。

 小沢代表は25日、都内のホテルで開かれた結党パーティーの挨拶で、福島原発事故について触れ、「自然エネルギーへの取り組みが遅れたことを反省しなければならない」と述べていた。

 小沢氏は原発を推進した自民党で長く要職を務めた。このことを含めた反省なのか?筆者は小沢代表に質問した。小沢氏は「(原発の危険性が)認識としてあった。だが結果として依存してしまったことを反省しなければならない。今後しっかりやってゆく」と答えた。

 小沢氏は福島の事故が起きる前から「原発は過渡期のエネルギー」と話していた。2011年1月(事故の2ヵ月前)、フリー記者と赤坂の居酒屋(割り勘)で論議した時のことだ。理由として「核廃棄物の捨て場がない」ことを挙げていた。

 「僕はねえ、科学技術庁(文科省の前身)の政務次官(1975年~76年)をやった時に原発のことを調べたんだけど、こりゃ問題だと思ったね」。熱燗をちびりちびりとやりながら首を傾げて話していた小沢氏を思いだす。繰り返すが「3・11」の前である。

 小沢氏は自民党時代、東電の平岩外四会長(当時)と親交があったことが指摘されている。だが、過去の失政に口をつぐむ政治家ばかりのなか、失政を反省し、脱原発を政策の柱に掲げたことは評価できる。

 この日の記者会見では、「生活」が「大地(鈴木宗男代表)」の支援を受けて北海道8区で候補者を擁立することも明らかになった。北海道新聞によれば、候補者は小沢氏の元秘書だ。北海道8区は、建設工事再開が決まった大間原発の対岸にあたる函館市、北斗市から成る。脱原発を政策の柱に掲げる「生活」の選挙戦が早くもスタートしたようだ。

小沢氏はフリー記者らと割り勘で飲みながら、政治論議に花を咲かせた。=2011年1月、赤坂。写真:田中撮影=

小沢氏はフリー記者らと割り勘で飲みながら、政治論議に花を咲かせた。=2011年1月、赤坂。写真:田中撮影=

 小沢代表は今国会で内閣不信任案が出れば同調する方針であることも明らかにした。クラブ詰記者の質問に答えたもので、小沢氏は次のように述べた――

 「3年前の選挙で掲げた政策・理念とは今の民主党はあまりも違い過ぎており、国民の支持を失っている。国民に約束したことをやろうという真摯な態度で政治を行っていれば、このような支持離れは起きなかった。私どもは前の国会でも不信任案を出している。今、不信任案を否定する状況にはなっていない」。

 民主党からは、きょうまた2人が離党した。あと6人離党すれば、過半数を割り込む。離党予備軍は10人前後いるものと見られている。不信任案が提出されれば、成立する可能性があるのだ。

 野田政権はどっぷりと危険水域に浸っているのだが、新聞・テレビの論調からは「不信任案」可決の現実味が伝わってこない。ある新聞は、「選挙に向けた準備が整っていない『生活(衆院37議席)』が、不信任案に同調しないものとみられる」と“迷分析”している。

 記者クラブメディアは、次期政権が「自民・民主・公明の連立」となることを望んでいるのである。談合できるからだ。「生活」を意図的に小さく扱うのは、もし「生活」が核となった政権ができれば、「政・官・マスコミ」による利権のトライアングルが崩れるからだろう。

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