【都知事選】 宇都宮けんじ氏敗北 「醒めた目の都民に声が届かなかった」

支持者の前で敗北の弁を述べる宇都宮けんじ候補。

支持者の前で敗北の弁を述べる宇都宮けんじ候補。
=16日午後8時過ぎ、東京・四谷3丁目の選挙事務所。写真:諏訪都撮影=

 16日、衆院選と同日投票で行われた東京都知事選。石原都政13年半の継承か否かが問われた選挙だったが、知名度と組織力で劣る宇都宮けんじ氏が大差で猪瀬副知事に敗れた。

 「脱原発」「人にやさしい東京」を掲げて立候補した前日弁連会長、宇都宮けんじ氏の選挙事務所。50あまりの勝手連ができ、ボランティア市民が中心になって運営された陣営にはあちこちに手作りのバナーが張られていた。

 TVで猪瀬副知事の当選確実が流れると、支持者からは、ため息や「信じられない」という声が漏れた。「オリンピックに無駄なお金が流れちゃう」という声もあがった。

 テレビカメラに促されて宇都宮候補が敗北の弁を述べた。

 「選挙戦自体は大変充実していた。市民ボランティアや勝手連の輪が広がり、熱気が感じられた。やるべき事はやった。しかし、勝手連の背後にいる、醒めた目で選挙を見つめる都民に、こちらの訴えを届ける活動が不十分だった」

 「石原都政に必ずしも満足していないとの確信を強めたが、選挙の投票と結びつかなかった」

 宇都宮候補がこう述べると、支持者からは「がんばったよー」という掛け声が飛び、拍手がわいた。目頭を赤くする女性支持者もいた。

 「脱原発統一候補」としてアピールを続けた宇都宮候補だったが、民主から自民へ、地すべり的になだれ込んだ衆院選のあおりを受けてか、その風向きを変えることはできなかった。

 宇都宮氏を支えた『人にやさしい東京を作る会』の中山弁護士は、「新しい形の選挙活動ができたことは非常に理想的だ。憲法改正や集団的自衛権の問題などに対して大きな柱として、今後とも活動を継続していく」と述べた。

 《文・中山栄子/諏訪都》 

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