自民党の政権復帰後初のTPP反対集会が今夕、首相官邸前で開かれた(主催:ストップTPP官邸前アクション)。
野田政権は明確にTPP交渉参加を打ち出していたが、不気味なのが安倍政権だ。
自民党は選挙前「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加には反対する」としていた。この言い回しが曲者である。わずかでも条件をつけることができれば「交渉に参加してもよい」と解釈することができるからだ。選挙に向けて農村票を固めるためのリップサービスとも取れる。
とはいえ党内の半数近い議員が「TPP参加の即時撤回を求める会」(森山裕会長)に参加しており“抑止力”となっている。
こうした状況を踏まえて主催者の一人は「TPPに反対していた議員がいつ態度を変えるか分からない。(賛成に)変えられないように働きかけていきましょう」と呼びかけた。
練馬区で農業を営む男性(50代)は不安を隠せない。「一基500万円のビニールハウス4基でホウレン草とこまつ菜を栽培しているが、TPPで市場が変わったらやってゆけなくなる」。
TPP反対の急先鋒だった山田正彦元農水相や田中康夫・新党日本代表が議席を失い、党を挙げてTPPに反対していた「未来の党」などは大きく議席を減らした。TPP反対派にとって政治状況は明るくない。
10月には交渉参加11か国の間で基本合意が結ばれる見通しだ。7月の参院選挙までには交渉への参加あるいは不参加を表明しておく必要がある。
安定多数のために参院でも過半数(公明含めて)を確保したい「安倍自民」。TPPをめぐる選挙公約をどうするのか、注視したい。