国民の知る権利を奪う「特定秘密保護法」の施行日は、来月上旬に閣議決定されることが、分かった。きょう東京地裁で開かれた「特定秘密保護法・違憲訴訟」の口頭弁論で、被告国側の弁護団が明らかにした。
国の安全保障にかかわる情報を漏えいした者に重い罰則を科す「特定秘密保護法」は、国民の大多数の反対を押し切って、昨年末、国会で強行採決された。今なお反対の声は根強く、大規模集会やデモが絶えない。
6月にはフリー表現者43人が「特定秘密保護法は違憲である」として国を相手どり、「執行の差止め」などを求める裁判を起こした。
きょう開かれた2回目の口頭弁論で被告の国は、原告が「執行停止」を求めていることに対して、法律の施行を決める閣議決定の日程を明らかにした。『反対したってやっちゃうよ』という意志表示である。
「天下の悪法」の施行はいよいよカウントダウンに入りそうだ。
口頭弁論の後、弁護士会館で裁判の報告集会が開かれた。誤報問題を受けての「朝日バッシング」に話題が集中した。
原告の一人で元讀賣新聞記者の山口正紀さんの発言は注目に値する―
「去年秘密保護法を作った連中がいま朝日を叩いている。権力の秘密に迫る中での誤報だった。讀賣新聞だって90年代には慰安婦問題を記事にしていた。讀賣はメディアではなくなってしまった。安倍の広報機関になった」。
フリージャーナリストの黒藪哲哉さんは次のように指摘した―
「秘密保護法(の施行)が迫るなか、朝日バッシング、(原発問題を追いかけていたテレビ朝日ディレクターの怪死を報じた)FLASHの回収など、報道が委縮するような事態が起きている…」
マスコミが軍部の検閲に委縮する。その一方で、売上げを伸ばすために権力の太鼓持ちとなる。一気に戦争に突き進んで行った昭和初期の歴史を繰り返してはならないという気概は、大新聞社にはなさそうだ。
特定秘密保護法でフリーやインディペンデントメディアを封じてしまえば、権力のやりたい放題となる。