ブッシュ来日、靴は飛ばなかった

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参加者たちは「ブッシュを逮捕せよ」「靴を投げよう」と訴えた(後楽園ドーム前で。写真=筆者撮影)

 世界を混乱に陥れた史上最悪の米国大統領との評価があるジョージ・W・ブッシュが3日、来日した。東京・後楽園ドームの日本シリーズ第3戦で始球式のマウンドに立ち、盟友の小泉元首相と野球観戦した。

 ありもしない大量破壊兵器の存在をでっち上げイラクに軍事侵攻したブッシュ政権を、小泉は真っ先駆けて支持した政治家だ。アフガニスタンに侵攻すると開戦から1ヶ月も経たないうちに「対テロ特措法」を成立させ、自衛隊をインド洋上の給油に派遣した。

 イラクは石油欲しさで、アフガンは中央アジアからの天然ガスパイプラインを敷設するためだった。イラクとアフガンを陥れた暁には、米国にとって最も度し難い国であるイランを挟撃しようなどという「妄想」さえあった。

 邪悪な利己心が引き起こしたイラクとアフガン侵攻により犠牲となった市民は数十万人にものぼる。

 ブッシュは、無辜の非戦闘員を大量に殺害した罪(人道に対する罪)でオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)に起訴されて当然の身なのだ。小泉は、「人道に対する罪の幇助」にあたる。

 にも関わらず2人とも引退後、優雅な余生を楽しんでいる。全く懲りていない様子だ。モラルの低さは、麻薬取締法違反で有罪判決を受けた俳優の押尾学以下だ。

 戦争だけではない。ブッシュ政権を支えていた金融界が導入した市場原理主義はパンクし、あっという間に世界経済を混迷の淵に突き落とした。小泉はここでもブッシュに協力した。日本の超低金利を利用した「円キャリトレード」は、市場原理主義の破綻の引き金となった「サブプライム・ローン」の原資に使われたのである。2人の「共犯関係」は経済でもいかんなく発揮された。

 夕闇迫る東京・水道橋。後楽園ドームへ向かう通路の入り口では、反戦平和活動家、非正規労働者らが「ブッシュ来日」に反対するアピールを行った。

 「戦犯ブッシュを逮捕しろ」をスローガンに、ブッシュと小泉の戦争犯罪を訴えた。イラク人記者にあやかって「靴投げ」を真似る参加者もいた。中心メンバーは、昨年秋に行われた「麻生邸見学ツアー」と重なる。公務執行妨害罪をこじつけられて不当逮捕された28歳の男性の姿も後楽園ドーム前にあった。

 主催者の一人は「ブッシュと小泉に責任を取らせたい」と語る。ルワンダやユーゴスラビアの政治指導者は、戦犯法廷に起訴される。だが米国の大統領や日本の首相だと罪には問われない。せめて球宴の観客のうち一人でも、靴を投げる勇気があればよかったのだが。<敬称略>

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