衆院選出馬の元派遣社員、経団連前で第一声

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経団連ビル前で第一声をあげる池田一慶候補(東京・大手町で。写真=筆者)

 社民党から衆院選(比例・東京ブロック)に出馬した自動車工場の元派遣社員、池田一慶候補(29歳)が公示日の18日、経団連ビル前で第一声をあげた。

 大学卒業後、日野自動車で派遣労働者として働いていた池田氏は2006年、NPO法人「ガテン系連帯」を設立、派遣労働者の地位の改善にあたってきた。

 昨年末、キャノン大分工場で非正規労働者約500人が「12月10日に解雇、その3日後に退寮」を通告される“事件”があった。典型的な派遣斬りである。池田氏は「ガテン系連帯」の仲間と共に大分にすぐさま飛んだ。会社側と交渉の結果、非正規労働者たちはしばらく寮に留まれるようになった。

 東京・大手町の経団連ビル前を第一声の場に選んだのは、経団連が「財政諮問会議」を通じて労働者派遣法を改悪し、企業の都合で雇い入れたり解雇したりできるようにした張本人だからである。

派遣労働者のユニオンは「非正規斬り」の嵐が吹き荒れた昨年末から今年初めにかけて幾度も経団連に足を運び、「非正規斬りを止めるよう」要望しようとした。だが経団連は面会しなかったばかりか、要望書の受け取りさえ拒んだ。

 第一声には「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長が応援に駆けつけた。「多くの経営者がモラルをかなぐり捨て労働者を使い捨てにしている。その親玉が経団連です。池田一慶さんは使い捨てられる側で働いてきた。その立場で政治を変えて頂きたい」。

 池田候補本人がマイクを握った。「歯を食いしばって働く派遣労働者がいなかったら車もカメラもできない。私は正規社員も含めて労働者の悲痛な叫びを聞いてきた。働く人の声を政治に届けるのが私の仕事だと思っている」。

 自民党は財界に支援され、民主党は大労組に依存する。3人に1人が非正規社員であるにもかかわらず、問題は政治のはざまに置かれてきた。雇用不安を払拭しないことには、この国の将来はない。非正規労働者の声が国会に届くよう池田一慶候補の健闘を願う。

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