原則公開の「原則」は、やはり曲者だった。主任検事による物的証拠改ざん事件で地に堕ちた検察の信頼を取り戻すために作られた「検察のあり方検討会議」。
25日開かれた2回目の会合は非公開となった。法務省庁舎20階で持たれている会議のもようを、記者団は地下1階の部屋に置かれたモニター画面で視聴した。天と地ほど引き離したのは「壁耳」などをさせないためだろうか。
モニター画面は撮影も録音も禁止となった。念の入ったことに部屋には法務省の広報担当者が張り付いている。
第1回目会合(今月10日)後の記者会見で、「会議は全部公開するのか?」と迫る記者団に対して千葉景子座長は「『原則』公開」と答えた。どういう時が原則でなくなるのか?との質問には「プライバシーや捜査中の事件に関わる案件」とした。
だが、2回目の会合は果たしてこれが「プライバシーや捜査中の事件に関わる案件」だろうか、という内容だった。委員の手元に配布された資料には固有名詞や事件名が書かれているが、やりとりされる話の内容は一般論以外の何物でもなかった。
この日は検察庁の事務方らしき人物を呼んでヒアリングした。検察のベールの向こうが少しでも覗けるのかと期待したが、完全に裏切られた。
モニターを通してのため発言者の正確な名前と役職は分からない。会場全体を撮影しているため映像に映る人物は小さくて顔も見えない。以前から声を知っている委員以外は誰が発言しているのかも不明だ。音も時折割れる。
検察庁の事務方らしき人物は、検察庁の機構や組織をざっと述べ、直受、認知、送致事件での逮捕から起訴・不起訴までの流れをこれまたざっと説明した。この他、検察庁法など。
少なくとも検討会議の委員を務める人なら、分かりきった事柄ばかりである。これに30分間も費やしたのである。検察庁側の狙いは時間稼ぎだ。
委員の質問に対する答弁がまたふるっていた―
江川紹子委員:高検、最高検に決済が上がる時の基準は?
検察庁 :村木さんの(郵便不正事件で無罪となった厚労省局長)件は、高検、最高検に上がっている。社会の耳目を集める事件は上級庁に上がる。
吉永みち子委員 :(証拠改ざん事件の)最高検検証チームは誰がどういう検証をしているのか?
検察庁 :最高検の検事12名が行っている。本件をよく精査し関係者から話を聞くなどしている。
検察庁側の答弁はすべてマスコミ報道されたものばかりだった。何のための検討会議なのだろうか。
「個別の案件にはお答えできません。法と証拠に照らし合わせて適正に対処します」。柳田前法相を辞任に追い込んだ法務省の「答弁哲学」は健在だ。
「検察のあり方検討会議」の結論は見えた。検察庁はあくまでも隠し貫く方針であるということだ。何十回ヒアリングをしても、木で鼻をくくったような答しか出てこないだろう。
これでは冤罪を生み出す体質が変わることはない。痴漢冤罪に嵌められたらおしまい、ということを肝に銘じなくてはならない。
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