土地取引をめぐり小沢一郎元民主党代表が強制起訴された陸山会事件の公訴棄却(裁判打ち切り)に注目が集まる。昨年末、小沢氏側の弁護団は、「第5検察審査会の議決は虚偽の捜査報告書に基づいたもので無効である」として公訴棄却の申立て書を東京地裁に提出した。
1月12日には市民団体が東京地検特捜部を偽計業務妨害や虚偽有印公文書作成の罪などで刑事告発した。特捜部は小沢氏に有利となる供述を検察審査会に送付せず、不利に持ち込む供述を捏造して送付した、とするものだ。
石川知裕秘書(当時・現衆議院議員)は「検事から『ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら選挙民を裏切ることになる』と言われて『小沢先生に虚偽記載を報告し了承を得た』」と供述したとされているが、これは田代政弘検事による全くの捏造だったのである。石川被告が起訴後の聴取の際に持ち込んだICレコーダーの記録がそれを証明した。
強制起訴のもうひとつの判断材料である「期ずれ」も会計の専門家が「問題ない」と公判で証言しているのである。
こうしたこともあり、石川知裕被告の供述調書の採用を東京地裁が却下する公算が大きくなっているようだ。採用の可否を決める(言い渡す)のが2月17日であることから、気の早いメディアは「小沢氏17日に無罪判決」の見出しを躍らせている。
陸山会事件は日本の司法が暗黒であることを示す。司法にとって目障りな人間に嫌疑をかけ、記者クラブにさも真っ黒であるかのようにリークする。目障りなだけだから、起訴できるほどの材料はない。そこで検察審査会の出番だ。検察審査会の審査員は、社会経験の乏しい30代前半の青年が選ばれるようソフトに仕掛けが施されている。
強制起訴の果てに待つのは、推認で有罪判決を言い渡す裁判官だ。インチキソフトの発注も含めて差配するのが最高裁事務総局である。裁判を自らの都合のいいようにねじ曲げ、不正も厭わない。そんな組織が司法に君臨しているのだ。
「このままでは日本が法治国家ではなくなってしまう」。危機感を募らせた市民が5日、観光名所の浅草でデモを繰り広げ、陸山会裁判の不当性を呼びかけた。
都内在住の会社経営者(60代)は「司法の政治介入はやめた方がいい」と冷静だが確信を込めて語る。目黒区在住の主婦も日本を支配する構図を見抜いていた。「司法、官僚、マスコミが一体となって国のためにならないことを行っている。小沢さんの事件を機に国民は、それに目ざめつつある」。
「国策捜査は重大な問題だ」「陸山会事件は検察とマスコミのでっちあげだ」「マスコミは官房機密費を返せ」……内外の観光客で賑わう浅草にシュプレヒコールが響いた。
浅草寺の雷門前は中国人観光客の姿が目立った。彼らが陸山会裁判の真相を知ったら、自国の司法制度よりも非民主的だと思うことだろう。