陸山会事件で小沢一郎・元民主党代表を何が何でも起訴するため、供述調書を偽造するなどした東京地検特捜部にまた矢が放たれた。特捜部を公文書偽造などの罪で刑事告発していた市民団体が21日、地検刑事部に「捜査要請書第2弾」を提出したのである。
東京地検はこれまで「裁判に支障を来す」として、身内の犯罪を捜査することを拒んでいた。だが東京地裁が17日、小沢一郎元民主党代表の資金担当秘書だった石川知裕衆院議員の供述調書を証拠採用しない判断を示したことから、東京地検としては捜査せざるを得ない状況に追い込まれた。「支障を来すもの」が裁判で争われることがなくなったのだから。
捜査要請書を提出したのは『健全な法治国家のために声をあげる市民の会』。同会はきょう午前10時、東京地検を訪れ刑事部の丸山文夫・事務担当統括捜査官に書類を手渡した。丸山捜査官は「その3(第3弾)、その4(第4弾)はありますか?」などとトボケた。内心穏やかでないことの表れだろう。
検察から証拠申請が出されていた石川被告の供述調書が採用されないことになった17日の公判廷で、東京地裁の大善文男裁判長は、検察が組織的に供述調書の偽造に手を染めていたと指摘した。検察にとって衝撃は大きかったはずである。
供述調書の捏造とは、石川被告に対する起訴後の取り調べ(昨年5月17日)で同被告の供述としてデッチあげたものだ。
「検事から『ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じことをしたら選挙民を裏切ることになる』と言われて、『小沢先生に虚偽記載を報告し了承を得た』――石川被告はこのように供述したことになっているが、このようなことは一言も話していないのである。石川被告が持ち込んだICレコーダーに記録されていないことから、検察の捏造が明らかになった。
裏金問題と政治資金規正法に詳しい郷原信郎弁護士(元検事)は「捏造調書によって検察審査会を騙したことに大きな瑕疵がある。公訴棄却にすべき」と言い切った。
検察は新聞・テレビが報道しないことをいいことに頬かむりを続ければ、さらに信用を失うことになる。法治国家の崩壊にさえつながりかねないことを理解すべきだ。
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