右も左も普通の市民も怒りは同じ。「反検察・反マスコミ」が国民運動になりつつある。5日、日比谷公園で開かれた「12・5市民の連帯の会」には、検察とマスコミに不信感を抱くあらゆる階層の人たちが集まった。
労働組合員、築地移転反対の仲卸業者、新右翼、年金生活者、主婦・・・手製のプラカードやゼッケンを携えた人たちで野外音楽堂はほぼ一杯になった。
集会の実行委員長を務める三井環・元大阪高検検事の挨拶が参加者たちの思いを集約していた。
三井氏は検察の裏金作りを内部告発したところ不動産購入に絡む微罪で逮捕された経歴(2002年)を持つ―「大手マスコミが検察と一体となって裏金作りを報道しない。そのため多くの国民が知らない。原田明夫検事総長(当時)は記者会見までして『裏金問題は存在しない。事実無根』と述べ国民に大ウソをついた」。
この事件でも大手マスコミは、検察リークに沿って「三井不動産」「暴力団とつながった黒い検事」などと報道した。仕上げは検事総長の「裏金全否定」会見である。
『マスコミは権力、マスコミ報道を疑う目を持とう』と書いたプラカードを手にした男性(50代)は目黒区からの参加者だ。男性はプラカードの「マスコミ」部分を指で弾きながら「こいつらにはデモで鉄槌を下すしかない。来年の地デジ化を機会にテレビを止める。インターネットで十分」と口を真一文字に結んだ。
この日は新右翼「一水会」も参加した。木村三浩代表は次のように検察を批判した。「検察は3Sだ。ストーリーをでっちあげる、ストーリーのS。マスコミにリークして世論操作する、操作のS。責任を取らない悪代官、責任のS」。
ジャケットの背中に『草奔崛起』の勇ましい文字が躍る男性(60代・都内)は「尖閣デモ」の常連だ。「日本は外国勢力に翻弄されて65年も経っている。いつになったら独立できるんだ。検察特捜部は戦後GHQが作った。米国の利益に適わない小沢一郎元代表が検察に狙われる理由だ」。男性は憤懣やる方ない様子で語った。
会場にはブルーの地に『築地移転反対』と白字で染め抜かれたTシャツを着た参加者たちがいた。「築地市場を考える会」の仲卸業者の面々だ。
同会最高幹部の野末誠さんは「石原都政も検察も隠すってことが良くねえんだ。隠すってのはなあ、悪いことしてる証拠なんだ」と江戸前のべらんめえ調に力を込めた。都は移転候補地の豊洲の土壌調査で毒性を過小申告した。検察はフロッピー改ざんだ。
イカサマをしてまで既得権益を守り抜こうと懸命なのが検察と大手メディア(記者クラブ)。見苦しいまでにナリフリ構わぬさまに国民は気付き始めている。
主催者の一人で『権力とマスコミの横暴を糾し人権を守る国民の会』代表の矢野健一さんは「市民が怒っている、もうこれ以上黙っている訳にはいかない」と訴えた。
数寄屋橋方面に向けてデモ行進を始めた頃、参加者は約2千人に膨らんでいた。
おりしも翌6日、検察の強引な捜査とマスコミによるリーク垂れ流し報道の犠牲となった鈴木宗男前議員が収監される。
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