暑中見舞い用葉書を買おうと郵便局に行ったら、局員から化粧品のカタログを渡された。必要事項を記入すれば希望の化粧品が届くことになっている。代金は現物と引き換えだ。
民営化で利潤を追求しなければならなくなったとは言えここまでやるのか、と驚いたしだいだ。郵便局員に聞くとカタログ販売は今年4月から始めたそうだ。そのための講習会まで受講したのだという。
現場は明らかに困惑しているようだ。その局員は「郵便物も扱って、こっち(化粧品)もしなければいけませんからね。頭が痛いですよ」と眉間にシワを寄せた。
「(最近増えている)誤配の原因になったりしてるんじゃないんですか?」と筆者が聞くと「そうですよ。(郵便の方を)間違って扱ったりしかねませんからね。お客さんから(日本郵政株式会社の)苦情センターに言ってもらえませんか。我々が上(本社)に言っても相手にしてくれませんから」と答えた。
郵便の誤配が最近増えている。表向きは「市町村合併で住所の名称が変わった」ということになっているが、実の理由は郵便局のカウンターで郵便物以外のものを扱うようになったからではないだろうか。
知人のコンビニ店経営者からこんな話を聞いた。混みあっている時に2人の客が宅配便を出しに来店した。客Aは北海道に、客Bは鹿児島に宅配便を送りたい。店頭で記入する宅配会社のシールにAは北海道の、Bは鹿児島の住所を書いた(※)。
ところが多忙のあまりこの経営者は、A(北海道行き)のシールをBの荷物に、B(鹿児島行き)のシールをAの荷物に貼ってしまったのである。当然、配達はテレコになる。
この話を聞いて以来筆者は、コンビニでは宅配便やメール便(郵便とはサイズの違う封書)を出さないことにしている。「相手にちゃんと届けたい物は郵便局で出す」というのが我が家の決まり事だ。
ところが郵便局の方がコンビニ化してしまった。郵政民営化に反対して総務(郵政)官僚の地位を投げ打った稲村公望・中央大学大学院教授は「将来的にはコンビニのように郵便局で何でも売らせるつもりだろう。日本の郵便制度はむちゃくちゃになっちゃうよ」と警告を発する。
これから大事な物を送る時は、自分が列車や飛行機に乗り運ばなればならなくなるのだろうか。小泉さん竹中さん、一体どうしてくれるんですか?
(※)話を分かりやすくするために、あて先の住所を南端(鹿児島)と北端(北海道)にしました。