小池百合子氏、都知事に覚悟の転身図る

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小池元防衛相。(東京・大塚の盆踊り開会式で。写真=筆者撮影)

 小池百合子・元防衛相が東京都知事選への出馬に意欲を示していることが関係者らの証言でわかった。ベテランの地元議員は「小池さん本人が『都知事選に出たい』と(極内輪に)話している」と明かした。

 都知事選は石原知事が「東京オリンピック誘致失敗」の責任を取り辞任した場合に行われるもので、今年10月投票が濃厚だ。

 石原都知事が政治生命を賭け血道をあげて誘致活動を繰り広げた東京オリンピックは落選が確実視されている。オリンピックの落選が正式に決まると石原知事は辞任するとの見方は以前からあった。石原氏本人も記者会見などで匂わせている。

 小池氏が都知事に転身を図りたがっているのは以下の理由からだ――
▼現在自らが争っている衆院・東京10区でライバル候補に対して劣勢となっている。

▼もし仮に小池氏が当選したとしても、衆院選後自民党は下野確実だ。最悪の場合は100議席を割り込むことも予想されている。小池氏の性分からして「弱小野党」に甘んじるはずがない。

 小池氏は「環境相」「沖縄北方対策担当相」「内閣総理大臣補佐官」「防衛大臣」などを歴任。福田首相の突然の辞任(2008年)を受けた自民党総裁選にも出馬した。

 目立ちたがりで、絶えず陽の当るポストにいないと満足しない性格だ。要職に就くため「女の武器」を最大限に生かした、というのが永田町での定説だ。目立つように写してもらうため週刊誌のカメラマンにも自分の携帯電話番号を教えているほどだ。自己顕示欲の塊とも言える。

 現在行われている衆院選挙で小池氏は苦戦を強いられているが、当選しても落選しても都知事選に出馬し、日本の首都のガバナーを目指す。

 小池氏は1992年、日本新党から参院選初当選。当時はテレビ東京のニュース番組キャスターからの華麗な転進ともてはやされた。以後、新進党→自由党→保守党→自民党と政党を移る。与党側にいるためだ。「政界の渡り鳥」は機を見るに敏なのだ。

 都知事選出馬をめぐる小池氏側と民主党との密約はあるのだろうか。民主党が都知事選で有力な対立候補を立てなければ、小池氏当選の可能性は高い。都知事選で“協力する”代わりに衆院選で手を抜いてもらう、というものだ。

 首長選挙と国政選挙での野党と自民党の取引(=密約)は、社会党(当時)の組織力がまだ健在だった頃、水面下で繰り広げられていた。究極の裏技である。世間の常識では考えられない「どんでん返し」の存在をいち早くつかみ、「登場人物」と「行き来する票数」を割り出すのは記者の取材力の証ともされた。

 もし密約なるものがあり、工作のため動いているとすれば新進党時代、小池氏が側近として仕えていた小沢代表代行の筋か。ただ前出のベテラン地元議員は密約説を言下に否定した。

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呉越同舟。前回の衆院選で刺客の小池氏が追い落とした小林興起氏が右端に
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