【エルサレム発】戦争と平和の境目がない国

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乳母車を押す妻と繁華街を歩くイスラエル兵(12日、エルサレム・アグレッパ通りで。写真:筆者撮影)

 国民皆兵制のイスラエルでは自動小銃を肩に下げた兵士が、妻やフィアンセと並んで街を歩く光景を当たり前のように見かける。マクドナルドに行けば兵隊さんが彼女と語らいながらハンバーガーを頬張っている。

 絶えず戦争状態にあるこの国には戦争と平和の境目などない。「平和を守るのは軍事力」という思想が人々のDNAとなっているのである。

 1948年、イスラエルが建国を宣言した『翌日』にアラブ諸国はイスラエルに攻め込んできた。第1次中東戦争である。イスラエルは以後4次にわたる中東戦争を全て勝利するのだが、戦争の度に領土を広げている。

 ユダヤ民族は国土を持たなかったために1900年余りの長きに渡ってディアスポラ(流浪の民)となり、行く先々で悲惨な目に遭った。第2次世界大戦前夜から戦中にかけてのヨーロッパでは、民族が根絶やしにされかねないホロコーストまで経験した。

 「国土を守ることが民族を守る」。ユダヤ民族が歴史から得た教訓である。その国土も南北に細長くて狭い。防衛意識は過剰になりがちだ。強烈な防衛意識がパレスチナへの軍事進攻となり国際世論の批判を浴びてきた。

 一方、ガザをコントロールするイスラム原理主義勢力ハマスの側も、イスラエルを意図的に挑発してきた。イスラエルは当然報復する。暴力の連鎖が市井の人々にもたらす苦痛をパレスチナとイスラエルの両方からリポートする。

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