「小沢問題」先送りで衆院補欠選挙も危うく

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「小沢元代表への対応については今後も役員会などで協議する」と記者団に語る岡田幹事長。(12日、民主党本部。写真:筆者撮影)

 民主党は12日の役員会で、自らの資金団体による土地購入をめぐって強制起訴された小沢一郎・元代表への対応を協議したが、慎重論が強く結論は先送りされた。

 この日は時あたかも衆院北海道5区の補欠選挙の告示日であった。選挙は自民党の町村信孝・元官房長官と民主党の新顔で社民党、国民新、新党大地推薦の中前茂之氏との事実上の一騎打ちとなっている。

 告示前の前哨戦では中前氏がリードしていたが、ここに来て町村氏が追い越したとの見方が有力だ。小沢氏の強制起訴をめぐる民主党の対応が影響しているものと見られる。

 公明党が学会員を町村支持で動かす大義名分も立つ。実際、学会は動いているようだ。

 補欠選挙は民主党の前議員が北海道教職員組合による政治資金規正法違反の責任を取って辞職したことを受けて行われる。それだけに中前陣営は「政治とカネ」で責められると辛い。

 「政治とカネ」で野党は国会でさらに追及を強める→連日報道される→中前氏への逆風となる。

 中前氏がもし敗れれば、「民主退潮」「自民復調」を印象づけることになり、菅政権は国会運営などで一層厳しい立場に追い込まれるだろう。

 かといって小沢氏に離党勧告を突きつけようものなら、小沢グループの反発は避けられず、党内政局の危険性を孕むことになる。菅首相はいかんともしがたいジレンマを抱えているのである。

 菅政権は記者クラブメディアを利用して小沢叩きに成功したが、今度は「小沢問題」に絡む連日の報道が政権の足元を危うくしている。皮肉という他はない。


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