派遣法改正大詰め 経団連よ労働者の惨状を聞け

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男性が勤めていた生コンクリート工場は労働基準法などお構いなし、暴力や恐喝も野放しの暗黒社会だった。(15日、経団連前=東京・大手町。写真:筆者撮影)

 労働者派遣法の改正が今国会で大詰めを迎えつつある。非正規労働者のユニオンが15日、財界の総本山である経団連の前で抗議活動を行った。労働者の権利が踏みにじられてきた「小泉・竹中改悪」を清算する、天王山の戦いは火蓋が切られたのである。

「小泉・竹中」の労働政策の狙いは図式的に表すと次のようになる。労働法の改悪→簡単にリストラ→企業の内部留保高める→株価を上昇させる。労働法改悪の象徴が、製造業への労働者派遣の解禁だった。

 昨夏、政権交代をかけて衆院選に臨んだ民主党は「日雇い派遣」と「製造業への派遣」の原則禁止を社民党、国民新党の間で結んだ。だが今夏の参院選で大敗を喫したために法制化は微妙になっている。

 東京・大手町の経団連前では、派遣はじめ外国人労働者、建設労働者などのユニオンの代表が、働く現場の惨状を訴えた。派遣法はじめ労働法制の改悪を主導した経団連首脳に届けとばかりに。

 横浜市内の生コン工場で働く男性は、会社側の労働基準法違反や労災隠しなどの実態を明らかにした。日報を改ざんし残業代を払わず、「労災申請すると解雇するぞ」と脅していた、という。実際、男性は一度「退職願い」を強制的に書かせられた。暗黒社会である。

 この生コン工場は経団連ビルに本社を置く名門企業の子会社だ。財界の総本山にヤクザまがいの違法行為を続ける工場の親会社がデンと腰を据えている。日本の労働環境は「夜明け前」だ。


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