つい30年ほど前までは父ちゃんが額に汗して働けば一家を食べさせて行けた。ところが今はどうだ。骨をきしませるようにして働いても結婚できない。稼ぎがあまりにも少ないからだ。仕事もあったりなかったり。
猛暑に見舞われた今年の夏は、お年寄りが熱中症でバタバタと命を落とした。年金生活でクーラーを回すだけの金がなかった人も多い。
夫の暴力や借金から逃れたシングルマザーは、子供を抱えて働けど働けど生活が苦しい。
貧困だらけの日本を象徴するかのようなフェスティバルが16日、東京・明治公園で開かれた。その名も「反貧困・世直し大集会2010」(主催:同実行委員会)。
会場には全国41団体のテントが所狭しと並んだ。非正規労働者のユニオン、環境保護団体、居住支援団体、医療機関、反基地団体……。貧困があらゆる分野に及んでいることを示している。
参加団体はステージにあがり活動報告をした。筆者が注目したのは岐阜県の「派遣労働者サポートセンター・結(ゆい)」だった。
「結」は岐阜市内に常設派遣村を設けている。昨年2月に2ヶ月間の期間限定で派遣村を始めたところ、利用者があまりにも多いため常設にした。
毎日炊き出しを行うほか、就労・居住支援、生活保護申請をする。ホームレス寸前のワーキングプアや路上に弾き出された約300人に部屋を斡旋してきた。開設して1年半余りで大変な実績である。
300人のうちの中心世代は30~40代。ほとんどが「派遣切り」で職と住居を同時に失った青年たちだ。
「結」の森下満寿美・相談員によれば「岐阜市内でも最近ホームレスが目立つようになってきた」。中部地方は(トヨタがあるので)比較的元気だと言われてきたが、「最近はそうでもない」という。トヨタの生産調整により関連会社が「派遣切り・非正規切り」をするためだ。派遣切りにあった労働者が愛知から岐阜に流れてくるのだという。
札幌市でも昨年末、ホームレスの「緊急一時保護施設」を設けたところ20代が目立ったという。
20~40代の働き盛りに仕事がなく、家賃も払えなくなり路上に弾き出される。国力は衰えるばかりだ。
派遣村前村長で内閣府参与の湯浅誠氏は「政府がデータを出さないので確定的なことは言えないが、貧困が広がっていることはほぼ間違いない」と言い切った。
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