「一刻も早く派遣法の改正を」 国会に要請

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「派遣法の改正を急げ」。全国各地から駆けつけた非正規労働者がシュプレヒコールをあげた。(25日、国会前。写真:筆者撮影)

 【ハケンという蟻地獄】 
 大量の労働者が職と住まいを失った「派遣切り」から間もなく2年が経つ。民主党は労働者派遣法の抜本改正を掲げて政権交代したものの内紛や参院選の敗北で大きくもたついたため、同法の改正案は宙吊りのままだ。

 この間、派遣労働者を取り巻く労働条件はさらに悪化した。業界寄りの厚労省の調査でさえ賃金は下がり、細切れ雇用はさらに短期化している。

 改正案は「登録型派遣」「製造業への派遣」「日雇い派遣」の原則禁止を3本柱に据えている。いずれも不安定雇用の温床になるからだ。

 今国会で派遣法の改正が見送られたら、「派遣切り」の惨禍が繰り返される恐れが十分ある。記者の質問の意味さえ分からないほどの経済オンチが首相を務め、景気は悪化する一方だからだ。

 “もう待てない” 危機感を抱く全国各地の非正規労働者ら約200人が25日、国会に集結した。

 「派遣労働は不安定雇用を創り出してきた」「国会は派遣労働者の声を聞け」「今国会での派遣法改正を急げ」・・・聳え立つ議事堂に向かってシュプレヒコールの声をあげた。

 ある非正規労働者(練馬区在住=41歳・男性)のアピールは、派遣労働の現状を象徴していた。

 「私は主に引越しの仕事で収入を得ている。派遣を通さずに働いた時は、日給9千円になる。だが、派遣会社が絡んできたら5千5百円を切る。」

 「派遣会社は引越しの仕事を8千円でダンピングしてくるため、運送会社は仕事を派遣会社に発注する。このため日給5千5百円が固定化しつつある。(毎日仕事があるわけではないので)食費などを引くとネットカフェにも泊まれない」。男性は時折声を詰まらせながら窮状を訴えた。

 最後に「一刻も早く派遣法の改正をお願いします」。痛切な叫びにも聞こえた。

 この後、ユニオンの代表たちは厚労委員会に所属する議員の事務所を回って「労働者派遣法の抜本改正を求める要請書」を手渡した。

 派遣法の改正は、参院で野党が過半数を占めていることから成立は微妙な情勢だ。厚労行政に深く関わる複数の議員は「(学会員が多い)中小・零細企業に配慮するように修正を加えて、公明党を上手に抱き込み成立を目指す」と話す。


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