小沢元代表、「TPPは命取りになる」

久々に記者会見した小沢元代表。自由報道協会慣例の拍手に送られて会場を後にした。(3日、東京・千代田区。写真:筆者撮影)。

久々に記者会見した小沢元代表。自由報道協会慣例の拍手に送られて会場を後にした。(3日、東京・千代田区。写真:筆者撮影)。

 小沢一郎・元民主党代表が3日、都内で記者会見(主催:自由報道協会)を持った。先月22日、党常任幹事会で党員資格の停止処分を受けて以来記者会見を開くのは初めてとあって、会場には大勢のジャーナリストが詰めかけた。記者クラブメディアからも数名が出席した。背に腹は代えられないのだろう。

 自由報道協会の記者会見が記者クラブ主催のそれと根本的に違うのは、ジャーナリストであれば世界中の誰もが出席し質問できることだ。政治家の記者会見とくれば、目先の政局に集中する日本の「記者クラブ質問」と違い、問題の核心にスバリと迫る質問も飛び出す。

 ドイツのジャーナリストが「菅政権には早く代わってほしいか?」と聞くと、小沢氏は「私は民主党政権を成功させたい。09年マニフェストに戻らなくては政権交代の意味がない」と答えた。マニフェストで約束した「歳出を削減し増税しない」を守らず、消費税増税に走る菅政権への批判である。

 TPPに対する質問に答えた小沢氏は政界やメディアに警鐘を鳴らした―

 「菅さんが(TPPを)突然打ち出した。中味を知れば知るほど多くの人が時期尚早と考えるに違いない。どの内閣が(TPP政策を)とって(採用して)も命取りになる」。

 TPPをめぐっては農業ばかりに脚光が当たっているが、金融、労働、医療、通信など24分野にも及ぶのである。菅直人とか言うバカ総理は内容も知らずに「平成の開国」などと浮かれている。

 これまで規制に守られてきた日本の産業がいきなり「世界選手権」で弱肉強食の戦いを強いられるのである。開国どころか壊国となりかねない。郵政民営化よりも遥かにスケールの大きい「日本食い」「植民地化」が展開されるのである。

 ところがTPPの内容については政府もろくに情報を持っていない。TPPを推進する省の副大臣が「私はTPPをよく知らない」とつい口を滑らしてしまったほどだ。

 カーク米通商代表による発言にみられるように米国はひたすら日本に対して「TPPに参加するよう」プレッシャーをかけ続けている。

 米国の意向に沿えば政権が長続きすると思い込んだオメデタイ菅さんは前のめりになる。TPPに参加すれば電波割り当ても外国企業に開放されて日本のテレビ局は独占体制が危うくなるのである。テレビ局の株で儲けている新聞社も一蓮托生だ。

 にもかかわらず記者クラブメディアもTPP推進に一役買っている。自らに災難が降りかかってくるとも知らずに。政府のリーク情報に頼ってきたツケは大きいものとなるだろう。

 ニコニコ動画の七尾功・政治部長が視聴者の質問を代読した。「ロシアが北方領土にミサイルを配備しようとし、中国は尖閣諸島沖で領海侵犯する。これをどう考えるか?」

 小沢氏はきっぱりと答えた。「国土と国民を守るのが政治家の任務。政治家が事なかれ主義で官僚に乗っかっていると、(外国から)侮られることになる」。

 その場逃れのためには仲間さえも売り、病的にテンションが高くなるアホ総理の記者会見は聞くだけ時間の無駄だ。

 小沢氏をはじめ国民新党の亀井静香代表、新党日本の田中康夫代表の記者会見は「政治は誰のためにあるのか」を語る。政局ばかり聞きたがる記者クラブから嫌われているのが3人の特徴だ。


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