こぬか雨の降る代々木公園にラテンの情熱的な曲が響く。演奏はフリージャズバンドとチンドン屋のコラボだ。ステージの後ろに「NO NUKES」の文字がなければ誰も「反原発集会・デモ」とは分からないだろう。
先月、高円寺駅周辺を市民で埋め尽くした「反原発デモ」の第2弾が7日、代々木公園、原宿界隈で繰り広げられた(主催:素人の乱)。
昨日、菅首相が中部電力に浜岡原発の停止要請をしたことに、参加者たちは複雑な思いを抱いている様子だった。
東京・府中市から参加した女性(20代)は「評価は70%、残りの30%はウラがありそうだから」と首を傾げながら話した。女性は八百屋の店員だ。福島以外の地域の野菜でも放射能汚染されているのではないかと思うと売るのが不安になる、という。
千葉県在住のOL(20代)は「大きな一歩」と評価しながらも「メディアがいずれ『原発は安全』と言い始めるだろうから油断してはいけない」と気を引き締める。「原発は危ないと言い続けるよ」。
タレントの藤波心さんも駆けつけた。「原発がない生活ができるのであればなくなってほしい。皆で力を合わせればできる」と語る。
「原発反対を唱えるとテレビの仕事がなくなりはしないか?」と筆者は藤波さんに聞いた。
「スタッフから心配された。それでも皆(国民)が考えてくれる機会になってくれればと思い声をあげた」と外連(けれん)味ない。
参加者たちはチンドン屋を先頭に「原発止めろ」のシュプレヒコールをあげながらデモ行進した。支配層はマスコミを通じて30~40年間にわたって「反原発は思想的に偏った連中の運動」と国民に刷り込んできた。今や権力の意図は見透かされ、誰もがお祭り気分で参加できる集会・デモとなりつつある。