【脱原発】 警察が頭を抱える「普通の人たち」の飛び入りデモ

警察官のデモ行進と見間違いそうだ。(22日午後、渋谷。写真:筆者撮影)

警察官のデモ行進と見間違いそうだ。(22日午後、渋谷。写真:筆者撮影)

 おびただしい数の警察官が整然と歩いている。まるで警察官がデモをしているような光景だが、そうではない。市民による脱原発パレードである。主催は「首都圏反原発連合」。これまで銘々でデモや集会を行ってきた6つの市民団体が、結集したのである。

 素人の参加者が増えたことで、頭を抱えているのは公安警察だ。「●●派」、「■■党」といった政治組織であれば、警察は構成員や運動方針などを手に取るように把握している。だが相手が一般市民だと勝手が違う。先月、市民団体主催のデモで12人も逮捕者したのは、身柄を押さえて徹底的に氏・素性や背後関係を調べるためだ。だが警察の期待に反して何も出てこなかったようだ。

 政府や東電が原発事故を無理やり収束に向かわせようとするほど、脱原発を求める普通の人たちは危機感を強める。22日のパレードには沿道からの飛び入り参加もあった。乳飲み児を抱いた父親、美大・デザイン学校のOG……。警察の想定外の“人種”が回を追うごとに増えている。

 美大・デザイン学校のOGグループは、『サヨナラ原発』と描いた横断幕を手にパレードの先頭に立った。メンバーの一人は「デモというと怖い感じがあるが、私たちが参加することで『しきい』を下げたかった」と微笑んだ。

 川崎市の男性(30代)は、生後1年5か月の赤ん坊を抱いて参加した。「子供を守りたい一心です。子供たちの世代に原発を残したくない」。男性は真剣な表情で語った。

 組織の動員によらない脱原発パレードが毎週末、日本のあちこちで催され、普通のオジサン、オバサン、オネエサンが「原発止めろ」と声をあげている。東電は聞く耳を持たないだろうが、国民の負託を受けた政治家はしっかり耳を傾けてほしい。

乳飲み児を抱いた父親。日常の風景が混じるようになった脱原発パレード。(同日、渋谷。写真:筆者撮影)

乳飲み児を抱いた父親。日常の風景が混じるようになった脱原発パレード。(同日、渋谷。写真:筆者撮影)

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