ニューヨークは東京の真冬を思わせる寒さだ。昨日(現地時間29日)は雪が降った。異常気象だという。異常なのは気象ばかりではない。米国の社会システムも明らかに常軌を逸している。
ほんの一握りの人間が富を独占し、多くの庶民は仕事にもありつけない。あっても低賃金だ。究極の利潤と低コストを追求するグローバリゼーションと市場原理主義が、極端な格差社会を作り出してしまった。
世界金融の総本山であるニューヨーク・ウォール街の一角を、「We are 99%」と訴える人々が占拠して40日余りが経つ。
ひしめくテントと食事の提供は、日比谷公園の派遣村(08年末~09年1月)を思い起こさせる。米投資銀行「リーマンブラザーズ」の破たんがもたらした世界金融危機の波をもろにかぶった日本企業は、「非正規労働者」を数万人規模で情け容赦なく解雇した。住居を共に失った労働者が路上に弾き出されたのである。
派遣村は「ウォール街占拠」を先取りする“事件”だったとも言える。一方、健康保険の未加入者(加入したくても不可能)が4,000万人もいる米国社会は、TPPに突き進む日本の将来を暗示しているようだ。
やがて日本にも襲いかかるであろう超格差社会の現実をリポートする。
(つづく)