【ウォール街占拠】 1%の側につく嫌われ者 Fox TV 

張りぼてのテレビカメラとマイクが可笑しみを誘う。=ズコッティ公園。写真:筆者撮影=

張りぼてのテレビカメラとマイクが可笑しみを誘う。=ズコッティ公園。写真:筆者撮影=

 「えっ!フォックステレビが“Occupy Wall Street”の現場取材に来た?」。強欲資本主義に抗議して庶民が占拠を続けるニューヨーク・ズコッティ公園に、「Fox News」のニュースクルーが……。しかもホームレスらしき男性にインタビューまでしている。

 フォックステレビは、超格差社会を作り出したネオコン・ブッシュ政権の御用放送局でもあった。「心を改めたのだろうか?」「貧乏人をバカにするために取材に来たんだろうか?」。筆者の頭は混乱した。

 近寄ると謎は解けた。「Fox News」と書かれたテレビカメラもマイクも張りぼてだったのだ。“フォックス取材陣”をパロったクリスさん(41歳・デザイナー)が心境を語る―「フォックスは金持ちのための報道しかしない。社会の現実をちゃんと見つめろと皮肉を込めてのパフォーマンスだ」。

 別の一角では老人がフォックステレビを批判するプラカードを掲げていた。「金持ちだけのためにあるフォックスが嫌いだから」。老人の静かな口調の中には、怒りが込められていた。庶民に忌み嫌われても放送局として続くところが、1パーセントの富の凄さだ。

 日本にも無知蒙昧な解説委員が国民生活などお構いなしに「消費税増税」「TPP推進」をシャアシャアと語る放送局が存在する。国家前での座り込みや日比谷野音での抗議集会で「フジテレビ」の張りぼてが登場しても面白い。

体温を奪い尽くすかのような冬のビル風が吹付けるなか、老人はフォックステレビを批判するプラカードを手に座り続けていた。=ズコッティ公園。写真:筆者撮影=

体温を奪い尽くすかのような冬のビル風が吹付けるなか、老人はフォックステレビを批判するプラカードを手に座り続けていた。=ズコッティ公園。写真:筆者撮影=

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