
24時間監視されながらのテント生活が続く。後ろに見える白い装置は高低調節自在の有人監視台。=ズコッティ公園。写真:筆者撮影=
「強欲資本家に富が集中し自分たちは病院にもかかれない」。金融の国家支配に抗議する庶民がズコッティ公園を占拠して50日余りが経つ。広さ1,250㎡余りの公園にはテントがひしめく。日を追うごとにその数は増え、通路を除けば空きスペースはほとんどない。
ニューヨーカーの最大関心事は市警察がいつ占拠者の排除にかかるか、だ。
一般紙『ニューヨークポスト(3日付)』は、1面トップと社説でブルームバーグ市長に宛て「占拠はもうたくさんだ。公園とニューヨーク市の威厳を取り戻す時期に来た」と排除を催促した。
ニューヨーク市警は今すぐ実力行使にかかる気配はないが、占拠者に対してジワジワとプレッシャーをかける。パトカーがまるで示威行為のように公園脇にズラリと並ぶことも珍しくない(写真)。有人監視台は24時間体制で見張る。7日には公園の手すりや樹木に括り付けた旗、プラカードをほんの一部だが、撤去した。
公園内に設けられたメディカルセンターのマリア看護師(22歳)によれば「警察からかけられるプレッシャーで頭痛を訴える患者が多い」という。
筆者は口の軽そうな警察官をつかまえて「いつ排除するのか?」と尋ねた。
「したいね…だけど市長の決断待ちだ」。30代後半と思われる警察官は、ガムをくちゃくちゃ噛みながら語った。その目は公園の占拠者をいまいましく見つめていた。
かりにズコッティ公園だけを排除しても、全米各地に広がる「Occupy(占拠)」を根こそぎにすることは不可能だ。まっとうに働く人々が人間らしく暮らせる社会を、政府が取り戻さない限り、第二第三の「Occupy(占拠)行動」が現れるだろう。
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NY市警がパトカーを並べて威圧するのも日常茶飯事となった。=ズコッティ公園。写真:筆者撮影=