経産省原子力安全・保安院は6日から、東電福島第一原発の保安検査に事故後初めて入る。枝野幸男経産相と保安院の大村哲臣・原子力発電検査課長がきょう午前、記者会見して明らかにした。
取材陣も受け入れるという。ただ11月の公開と同様、記者クラブメディア限定の恐れがあるため、筆者は枝野大臣と保安院の吉澤雅隆広報課長に「フリーランスやネット記者も取材に入れるよう」要望した。枝野大臣、吉澤広報課長とも「東電に申し入れている」と答えた。
11月の公開では、内閣記者会19社、福島県政記者会7社、海外メディア4社の計36人のみが、福島第一原子力発電所内への立ち入りを許可された。一行はバスに詰め込まれたまま降車することもできない。カメラのアングルさえも「あっちは撮るな、こっちは撮るな」と制限された。都合の良いところだけ見せるのだ。まるで北朝鮮ツアーだ。
今回もそうなりそうだ。保安院の吉澤広報課長は「撮影していい所、できない所はこれから東京電力と調整する」と明かした。撮影規制の理由を「核防護上」とした。
「カメラを向ける角度と核防護は関係ない。公共性が高く、これだけの大事故を起こした事業所だ。社会に公開する責任があるのではないか。規制する、ということ自体おかしい」。筆者は最後にこう言い残した。
記者クラブメディアの原発事故報道を調べるために、筆者は図書館に行って過去10年分の新聞縮刷版を見たことがある。後の福島第一原発事故に結びつく事故やトラブルなのに、顕微鏡で探さなければならないほどの小さな扱いだ。
広告の復活を期待する新聞・テレビはいまだに原発事故報道に及び腰である。俳優の渡辺謙さんがダボスでスピーチした際、ほとんどの新聞・テレビは原発に関する部分をカットした。東電の広告復活を見越して原発事故には触れないのだ。
フリーランスやネット記者を排除すれば、仮に撮影規制がなくなったとしても記者クラブメディアの自己規制によって、東電の都合の悪いところは表に出なくなる。結局、事故現場の実態は闇に閉ざされたままになるだろう。