「東電は責任を取れ」 総額5兆5千億円、株主代表訴訟

損害賠償請求の訴状を提出した直後、記者会見する株主ら。=5日午後4時、司法記者クラブ。写真:筆者撮影=

損害賠償請求の訴状を提出した直後、記者会見する株主ら。=5日午後4時、司法記者クラブ。写真:筆者撮影=


 腰をあげないばかりか、巨大企業と結託している感のある政府に代わって株主が立ち上がった。東電の株主が先ほど、経営陣(旧、現)27人を相手どって総額5兆5,045億円の損害賠償を求める株主代表訴訟を東京地裁に起こした。

 請求金額は「東電経営・財務調査委員会」の試算に基づいた。日本の裁判史上最高額だ。訴えられたのは事故当時と平成14年以降の会長、社長、原発担当取締役。平成14年としたのは、同年に文科省地震調査研究推進本部がM8クラスの地震が起きることを予想していたため。

 訴状によると被告(東電経営陣)の責任は以下(要約)-
●超地震大国で漫然と原発を建設、運転したこと。
●15m以上の津波が襲来するとした警告や研究成果を無視して、想定津波波高を従来の6・1mから1㎝も上げなかったこと。
●シビアアクシデントの対策不備
●2、3号機についてのベントと海水注入の遅れ

 ねらいは―
●日本では個人責任を取らせないと何も変わらない。
●個人の責任を追及することによって原発業界における集団無責任体制を是正したい。
●他の電力会社の取締役も再稼働して重大な事故を起こしたら株主代表訴訟が起きることを覚悟してほしい。

 福島第一原発事故は10万人を超える避難者を出し農地や海を汚染したが、東電経営陣は誰ひとり責任を取っていない。JRや工場などが重大な事故を起こした場合、すぐに捜査機関の捜索が入る。だが事故発生から1年経った今なお東電は全くのお咎めなしだ。ばかりか、電気料金値上げと税金で救済される気配さえある。

 東電経営陣を相手取った株主代表訴訟は、裁判所の良識が問われる場となりそうだ。
  
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